トモ

水上のフライトのトモのレビュー・感想・評価

水上のフライト(2020年製作の映画)
4.5
いい映画だった

将来有望な走高跳び選手として自分の実力に自信を持っていた藤堂遥(中条あやみ)が不慮の事故に遭い将来の夢を絶たれる

絶望を感じ心を閉ざす遥は周りの優しさに支えられながら徐々に心を開き、現実と向き合い前に進むようになる

あらすじはこんな感じだが、その過程が丁寧に描かれる

どれだけ愛情を持って周りが切り替えられる提案をしたところで本人の痛みは本人にしか分からず、自分に厳しく自分自身の力で乗り越えてきた遥にとっては尚更

一瞬にして夢を絶たれ、現実に直面しながらも夢を諦める事ができない遥の葛藤を中条あやみさんが素晴らしく演じていた

自分の力で今があると思っていた遥が実は常日頃から周りの人に支えられていた事に気付いた時から心の変化が表れる

自分自身が誰にも負ける事を許さない遥が人より前に進むために努力を重ねる姿や、その成果と共に人の思いをのせてスピードを上げていく最後のシーンは作品全体を集約していてとても感動的だった

カヌーで大切なのはタイムではなく、人より先にゴールする事、というような台詞があったけど、遥が次に出会うべき競技だったんだなと思った

中条あやみさんは大好きな女優さんだけど、また新たな一面が見れてますます魅力的に感じる、そしてカヌーのシーン、みるみるレベル、スピードが上がっていってビックリ、颯太との焚き火のシーンでの表情も素晴らしかった

小澤征悦さんは今作も最高だった。キャラ的にあまり表には出ないが愛情の固まり。アドリブ感もあって、ノリツッコミ最高だったな笑

大塚寧々さんのお母さん役は温かさと愛情に溢れている、だからこそ見えない葛藤がより伝わってくる

杉野遥亮君もオーラがあってかっこよく演技の上手い俳優さん、遥を自分の背景と重ねる繊細な演技も良かった

平澤宏々路ちゃんは「いつ恋」の時から日に日に大人になっていて相変わらず演技上手くて泣きそうになる笑

タイトルが素晴らしく、とても丁寧で誰にでも入り易く前向きになれる感動作
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