Haruki

シチリアを征服したクマ王国の物語のHarukiのレビュー・感想・評価

4.5
20世紀のイタリア文学を代表する作家ディーノ・ブッツァーティによる童話を、カラフルな色彩とユーモラスなキャラクターでアニメ映画化した作品。

シチリアの山奥に暮らすクマたちが、あることをきっかけに人間の街へと下り、国を征服し、人間と共生していく姿が描かれる。

躍動感溢れるダイナミックなアニメーション、チャーミングなキャラクター、そして冒険のワクワク感満載のストーリーが楽しめる。

このストーリーがとにかくすごい。
単なる冒険譚ではなく、サスペンスと示唆に富む物語になっている。

暴君を倒し、新しく王となったクマのレオンス。
彼は解放者として喜ばしく迎えられたが、次第に統治者としての目は曇り、国は不安定になってしまう。

クマたちを人間になぞらえて革命と革命後の腐敗を描いたストーリーは、社会に対する普遍的な教訓を語っている。

さらに、異なる文化との共生の難しさと破綻も描いた残酷なストーリーとも言える。

一方で、原作にはいない少女アルメニーナを登場させ、破滅に気づく聡明で勇敢な彼女の姿を通して、世界への希望を託している。
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