SPNminaco

シチリアを征服したクマ王国の物語のSPNminacoのレビュー・感想・評価

-
ハイセンスな絵本のようなアニメーションは、権力の普遍的な危うさを浮き彫りにする。クマと人間が団結して平和な世界を築いても永遠には続かない。王国は常に権力争いの危険を孕むのだった。語り部がバトンタッチして裏表となるお伽噺。繰り返される歴史。「クマと人間は似ている」。
デフォルメしたシャープな線とハチミツ色のフィルターをかけたみたいなウォームトーンの色彩、リズミカルな動き。シュールレアリズム風な絵の質感で、マグリットの絵画っぽい雲や幽霊、コロコロプカプカ浮かぶモノたちの造形がとても面白い。魔法や冒険といったファンタジックな要素と、現実の政治風刺が合わさって、ほろ苦い結末だ。もう一つの結末が気になるけど、これはこれで。でもクマが冬眠中の王国はどうしてたんだろう。
SPNminaco

SPNminaco