とうがらし

彼女と彼のとうがらしのレビュー・感想・評価

彼女と彼(1963年製作の映画)
3.4
高度経済成長期。
東京五輪の前年に作られた羽仁進監督作品。

団地住まいで希薄な人間関係。
格差と差別に背中合わせながらも、ナチュラルに暮らす人々の物語。

ある日、向かいの部落で火事が起こる。
彼女は耐火構造に守られた安全地帯(団地のベランダ)から眺めて興味津々。
それをきっかけに、彼女は部落に住む夫の旧友(彼)を出会う。

彼女は大陸(満州)から引き揚げてきた団地の夫婦。
彼は彼女の夫と同じく最高学府で勉強していた人間で部落に住み着いている。

鉄くずを品定めする業者。
「クズにも種類があるんでね」
廃品を売ろうとする主婦たち。
「買ってよ。団地に柵を作りたいの」

彼女は誰にも分け隔てなく笑顔を振りまく天真爛漫な人。
しかし、彼に一杯のお水をあげてから、次第に疑念が生まれて、こじれていく。
関係が密になることで、人間の偽善が浮き彫りになる。

左幸子は日本人で初めてベルリン国際映画祭 最優秀女優賞を受賞した。
何とも形容しがたい武満徹の劇伴はやっぱりいいわ~。
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