デニロ

彼女と彼のデニロのネタバレレビュー・内容・結末

彼女と彼(1963年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

1963年製作公開。脚本清水邦夫、羽仁進。監督羽仁進。

左幸子のこころ根がさっぱりわからない。かなり変な人、と思うわたしが変なのだろうか。

団地の子とバタヤ集落の子の遊びのジャッジをしたり、夜中に近所のバタヤ集落で火事が起こりそれを見に行きたいと夫の岡田英次にせがんだり、いまやそのバタヤ集落の住人になっている夫の大学時代の旧友の男に声を掛けたり、その彼が水を所望しにアパートにやって来るや素直に聞き入れたりするのは理解できないではない。満州からの引き揚げ者で身寄りがない彼女の真情あふるる軽薄さをそこにみるしかない。

ある日、家にあったはずのトロフィーが屑屋のトラックの荷台にあることに気付く。バタヤから買ったものだという。そういえば・・・・。疑いをかけられたバタヤ山下菊二は説得力のない弁明を繰り返し、彼女のアパートの前に座り込むのだが、なんと彼女は彼を部屋に招き入れ難詰する。そうこうするうちに彼女の真情あふるる軽薄が満開となっていくのです。

彼女は、バタヤ集落に自由自在に出入りし始める。もはや観ているこっちは気が気ではなくなるほどだ。

そしてラスト。集落はゴルフ練習場にするため打ち壊される。ひとり抵抗を続ける男。が、男が連れていた犬が嬲り殺しにされるや男は忽然と姿を消す。

再び岡田英次との日常に戻る。こどもを作ろうか、岡田英次の言葉にも彼女のこころは此処にないようだ。

シネマヴェーラ渋谷 日本の映画音楽家Ⅰ 武満徹 にて
デニロ

デニロ