菩薩

彼女と彼の菩薩のレビュー・感想・評価

彼女と彼(1963年製作の映画)
3.6
新興住宅街(団地)とその下に広がるバタ屋部落と呼ばれるスラム、富める側の「彼女」はそんな境界を行き来し、「彼」だけでなく目の前の人間にできる限りの善意を施そうとするわけだが、そこには完全たる「柵」が設けられ、人間性そのものをも分断している。戦後、自分が生まれる前にはこう言った光景は当たり前のようにあったのだと思うし、今もその柵と言うものは当たり前に存在している。持つ者と持たざる者、貧富の差が生み出す差別意識、格差は更なる格差を生む、そんなものが顕著になり始めたのはいつからなのだろうか。団地のクソガキ共が犬を嬲り殺す後味の悪さはなかなかの物。もう少し団地妻路線に走るものかと思ったらそんなものは全くない、けれどこの時の左幸子は妙に色っぽい、人妻なのに未亡人オーラが凄い。
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