MasaichiYaguchi

巨蟲列島のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

巨蟲列島(2020年製作の映画)
2.3
NHK Eテレの教養番組で俳優の香川照之さんが昆虫を紹介する『香川照之の昆虫すごいぜ!』というのがあるが、これにエロとグロの要素を入れてパニックホラー仕立てにしたら、この映画になるような気がする。
本作は「チャンピオンクロス」や「マンガクロス」で配信されていた藤見泰高さんの原作による漫画の劇場アニメ版だが、ヤングアダルトをターゲットにしているのかエロさグロさ満載でストーリーが展開する。
内容的には飛行機が墜落し、生き残った若者たちが気が付いた場所は“とんでもないもの”がいる離島で、この“とんでもないもの”を相手にサバイバルを繰り広げていくことになる。
この“とんでもないもの”がタイトルの「巨蟲」であり、大きくなっているとは言え、元々の昆虫の特徴や生態はそのままで、それに対応して若者たちは死中に活を求める。
若者たちの実質的なリーダーは昆虫博士のヒロイン・織部睦美で、彼女の蘊蓄で絶体絶命のピンチに立ち向かっていく。
この作品を観ていると、ロバート・A・ハインラインのSF小説をポール・バーホーベン監督が映画化した『スターシップ・トゥルーパーズ』を思い出す。
『スターシップ・トゥルーパーズ』はパロディ映画であり、全体主義社会やナチズムに対する皮肉が込められているが、この劇場版アニメはそういったメッセージ性がごっそり抜け落ちているように思える。
とても中途半端な終わり方をするが、この内容だったらわざわざ劇場版を制作するまでもなかったような気がする。