yuzame

WAVES/ウェイブスのyuzameのレビュー・感想・評価

WAVES/ウェイブス(2019年製作の映画)
3.0
光の中で自転車を立ち漕ぎする
エミリーの後ろ姿から映画が始る。
手放しで両手を広げて風を受けながら
光に溶けていくエミリーで映画が終わる。
家族の再生は
きっと大丈夫って思わせてくれる
若い生命力に満ちた彼女は希望そのもの。

一見上手く行っているように見えた
家族の歪みが
ギューっとタイラーにのしかかっていって
ポッキリ折れた彼が爆発。
運悪く、その暴発した有り余る力が
起こした不幸な事件。

彼の父は弱かった
(演技めちゃ上手かった)
経済的に負い目のある彼は、
女性に絶対に負けることのない
筋力のみをよすがに、
家長の威厳を保とうとした。

息子は父に従った。
多分、彼の資質にも合ってたんだと思う。
肩の故障、彼女の妊娠。どっちも大問題。
吐くほどの大問題。
なのに見ないフリでやり過ごす。

弱音を吐ける大人が
そばに居なかったのが痛かった。

レスリング部のコーチをはじめとする
部の雰囲気、異様だった。

エミリーは
ピンクと水色のグラデーション。
タイラーは青と赤。
後にそれはパトランプの色と合致する。

前半、全く存在感のないエミリー。
猫だけが家族のよう。

弱音が吐けないタイラーを
慰めるのは彼女。
でも彼女はワケを聞かない。
そして、事件の夜も彼を止めなかった。
一歩引いた態度を取るクセを
彼女は後悔することになる。

事件の後の裁判、その後の生活。
今まで家族の中でモブキャラだったのに
こうなってしまうと有無を言わさず
家族の輪の中に入れられてしまう。

憎んでいた父を、
最期には赦して看病するルーク。
その姿はエミリーに
希望を持たせてくれたんじゃなかろうか。

ハンバーガーが食べたくなった。
フランクフルトも。
yuzame

yuzame