お望月さん

マーダー・ミー・モンスターのお望月さんのレビュー・感想・評価

2.9
最終的には、とてもせつないクィアな叫びの物語なのだったのだと思う。真相が明らかになる終盤とラストシーンの悲しみは見ごたえがあった。

「保守的な村で無数の首無し死体を産み続ける。モンスター。その正体は?」というサスペンス・ホラーの建付けなんだけど、どうにも表現の歯切れが悪い。鏡越しのシーンやロングショットの間接表現が多くまるで印象がぼやけてしまう。

ダンスのシーンだけは、穏やかな時間が流れており性交渉以外の親しみを伝える手段として機能している。ここに「救い」があったのだろう。

身体と精神の乖離がモンスターを生み出し「私を、殺して、くれ」と叫び続ける姿は物悲しいが、実際にモンスターが登場するとその露骨な姿に目をひそめてしまう。この悲しきビジュアルは田舎の村で抑圧された性を発露するグロテスクさを表しているのだろう。それにしても、それにしてもである。

全身モザイク人間に足らなくてよかったね!