Dick

マイライフ、ママライフのDickのネタバレレビュー・内容・結末

マイライフ、ママライフ(2019年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

❶相性:上。

➋時代:令和1年(2019)。

❸舞台:東京のどこか。

❹主な登場人物
①三島沙織(鉢嶺杏奈):共働きで2人の子供を育てる母。30歳。やりたい仕事を諦めて、子育ての都合で選んだ事務職をしている。夫からの家事・育児の協力が得られず不満が募るが、本音を言い出せずにいる。沙織夫婦は下記の「家族留学」にホストとして参加して、綾夫婦と交流する。彩織と綾はその後も連絡を取り合って、お互いの悩みを打ち明ける。
②三島博貴(池田良):沙織の夫のサラリーマン。家事と育児は妻まかせ。
③大内綾(尾花貴絵):結婚3年のDINKS。30歳。夫や義父母は子共を期待するが、今のやりがいのあるイベントの仕事が多忙なことと、最初に流産していることから妊娠を躊躇している。綾は仕事で「家族留学」なる企画の運営を任される。子共を持たない夫婦が、子共のいる家庭を体験するプログラムである。綾は沙織の家族と対面するが、子共をもつ母親の気持ちが理解できず、沙織を傷つけてしまう。
④大内健太郎(水野勝):綾の夫のサラリーマン。子供を持ちたいと望んでいる。
⑤野田結衣(柳英里紗):綾の後輩のOL.。彼氏の子を宿して寿退社予定。
⑥村井実加子(中田クルミ):綾の同僚の独身バリキャリ。

❺まとめ

①本作で描かれるのは、2組の共働き夫婦である。一方は、2人の幼児がいる世帯、他方は子供がいないが、夫や義父母は子供を待ち望んでいる世帯。

②主な共通点が4つある。
ⓐ妻が共に30歳。
ⓑ夫もほぼ同年代。
ⓒ夫が家事や育児に非協力的。
ⓓ結果として、妻に過度の負担がかかり、妻の不満が溜まっているが、そのことを夫は認識していない。

③30歳ともなれば責任ある仕事を任せられ、脂が乗っている時期である。深夜まで残業したり、時には徹夜もあるだろう。男性なら当たり前の世界なのに、女性には家事や育児という必要不可欠な仕事が加わる。疲れて帰宅しても、まずはビールというわけにはいかない。

④専業主婦なら当たり前だったことが、共働きでは妻の負担になる部分が多すぎるのである。(注1)

(注1)共働き世帯と専業主婦世帯の比率は1995年辺りを境に逆転して、今では前者が後者の2倍を超えている。(出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構)。
・共働き世帯:1980年600万世帯。2021年1,200万世帯。
・専業主婦世:1980年1,100万世帯。2021年570万世帯。

⑤本作を観て、2人の妻に共感する。2人の頑張りを偉いと思う。同時に、もう少し、夫の理解と手助けが必要だと感じた。

★小生の場合は、専業主婦世帯だったが、それでも育児は大変だった。ましてや、共働き世帯の大変さは言わずもがなである。

★小生の知人で若い共働き夫婦の中には、夫が家事や育児を分担して円満にやっているカップルが2組いる。2組共財布の紐は妻が握っているところに秘訣がありそう(笑)。

⑥現在我が日本では、「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」、および「育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化」などの問題に対し、厚労省では「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」の施行により「一億総活躍社会」の実現に向けた取り組みが始まっている。
★このような取り組みに異論はないが、それよりも、まず、本作で描かれたような家事や育児の於ける妻の負担を減らす方策を優先させるべきだと思う。

★本作は一人でも多くの男性に観て欲しい映画である。
Dick

Dick