なな

きみの瞳(め)が問いかけているのななのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

ビルの管理人、車が出入りする入口のとこにある小部屋、防犯カメラがあって小さなテレビがあるとこに座った。
新しい仕事。

隣に知らない女が座り、おじさんと自分に話しかけてきた。みかんとお酒と好きなやつと言いながらタッパに入ったお稲荷さん、次々と渡してくる。
一緒にテレビを見ようとしていた。
慣れた様子で。

彼女は目が見えないらしい。
匂いでおじさんではなく自分であると気づいた様子で、誰?おじさんは?と聞いてきた。
前の人なら辞めたよと告げると彼女はものを回収し、外へ出て行った。
だが、外は土砂降りの雨だった。

よかったら見てけば?と声をかけた。
それから毎週一緒にドラマを見るようになった。

ある日、横暴な運転をする車を避けようとして彼女が転んだ。慌てて駆け寄り、病院へ行き家まで送り届けた。おんぶもして。
だが彼女の家まで階段がたくさんあった。

お礼にとジャズコンサートのチケットを出した。
躊躇していると友達いないの?一緒に行く?と聞いてきた。

2人でジャズコンサートに行き、
焼肉を食べた。
彼女は箸を滑らせ、洋服にタレがついてしまった。
だが彼女はいつもの様子で拭き取り、話を続けた。
過去の話を聞かれつい嫌な態度をとってしまった。
けれど彼女を送り届けたとこで、名前と過去について少し話した。

彼女のセクハラストーカー上司が家まで押しかけてきたらしく、悲鳴が聞こえ、
慌てて駆けつけ、彼を引き離した。
彼女を引っ叩き無理強いしようとした男をボッコボコにした。次やったら殺すと指を折った。
彼女はやめてと泣いていた。

なんでやめてくれなかったの?
私の上司なの、首になったらどうすればいいの?
仕事を探すのは大変なのよ、
だから明日も何事もなかったような顔して笑うのと言った。

“責任は俺が取る”
“俺が明香里さんを助けるから”

2人で海に行った。
彼は施設育ち。
母は海に入った、自分を抱えて。
多分、無理心中だったと思う。
そして、自分だけ生き残ってしまった。

“たまに思うんだ。
どうしてあの時一緒に死んであげられなかったんだろうって”

彼女は仕事を辞めた。
一緒に暮らすようになった。

ボディーガードにワンちゃん、すくを迎え入れた。
“すくすく育ちそうだから”

ロミオとジュリエットの好きなセリフ。
“彼女の目が問いかけている。
僕は答えなければ”

彼女の目はまだ生き返る。
だが両親を自分の運転で死なせてしまった罪悪感から手術は嫌だと言った。
手術をしよう、自分の幸せを自分の目でしっかり見てほしいと伝えた。

彼女が運転を誤ってしまったのは、
あの日の僕のせいだった。

彼はキックボクシングをしていた。その頃、裏社会で詐欺とか働く組織の中で地下格闘技、用心棒的なこともしていた。
現場に警察が来て刑務所に。
出所後、ビル管理人の職についた。
キックボクシング道場の親父にすまないと謝りに行った。もう一度やらないか?と誘われたが、断った。
だが、彼女と出会い、再びキックボクシングの道に。
裏社会のやつらがまた顔を出した。
1試合でいいから出ろと。断ったが、家まで特定され彼女の危険を感じ1試合だけ、勝ったらもう構わないとの約束で出場を決意。
用意された相手は外国のでっかい体のやつ。
急遽相手が変わったんだと言われ、
裏切り者には徹底的に制裁をかと思った。
でも彼には勝つしか道がなかった。
意識を失うもしくは死ぬまで続くデスマッチ。
彼はボロボロになりながら勝ったのだ。

もうダメだと思った。
金は自分が命を奪ってしまった男の奥さんと彼女に半分ずつ渡してくれとキックボクシングの親父に頼んだ。

電話ボックスから出ると
車で轢かれ背中を2回刺された。
奴らの思惑に反し、睨まれたのだ。

“私にも帰る場所があるんだって歌”
椰子の実。

彼は生きていた。
入院中の自分はボランティアをする彼女と偶然会うが、彼女は僕の顔を知らないから分からない。
気づかれないように声を出さなかった。
手にはかつて彼女に私たちを繋ぐシーグラスねと言われた赤いのを握りしめていた。

彼女は彼を待っていた。

アントニオ、自分の名前のお店を開き、
思い出の金木犀、椰子の実のオルゴール。

彼は母、そして彼女との思い出の海に。
彼女は彼をようやく見つけ、
彼だと確信したのだ。

ハッピーエンドでよかった。。。
なな

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