「忘れないようにするには、どうしたらいい?」
おじいちゃんとユナが、おじいちゃんが考え事をしたい時に来る内緒の川でお話しするシーン。この映画をとても象徴する会話で胸がグッと熱くなる。私たちはさ、いつだって簡単に忘れてしまって、生きていくには忘れないと生きていけないけれど、それでも忘れちゃいけないことがあるんだよな、ってずっとずっとぐるぐると考えちゃうようなそんな時間だった。ねぇ、おじいちゃんって話しかけたくなるようなね。
フォローしてるTwitterの映画好きさんが絶賛してて気になってた「もち」。タイミングがよく映画館で観れました。
おじいちゃんと孫の関係にただでさえ弱いのに、大好きな原風景の中で日本の、岩手の、小さな村の小さな学校のとびきり愛おしい時間に、静かに涙が溢れて止まらなかった。ユナちゃんが綺麗な涙を流すから。心が洗われる。
主人公は佐藤由奈さんという、きっと映画に出るのは初めてだろう少女のそこに生きるリアリティと、小松監督が切り取りたい脚本、演出の間でリアルとフィクションの間に揺れるとても不思議な感覚になる映画で。
おじいちゃんは、おばあちゃんがなくなったとき臼と杵で餅をつきたいといった。餅つき機でもういっぱいついてるのに、臼と杵がいいと。おばあちゃんのどこが好き?って聞いたら「全部」と言ったあと溢れる笑顔に、人が誰かを愛するってこういうことなんだなって教えられるみたいだった。
努力をして好きな人に気持ちを伝える。甘酸っぱくて、あーーこの気持ちそうだったこんな風に不器用な形ででもたしかにそこにあったなぁなんて思い出したりして。えいって渡すんだよね、恥ずかしくて目が見れなくて。それでもその後はなんだか大人になった気がして。