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The Dead Center(原題)のGreenTのレビュー・感想・評価

The Dead Center(原題)(2018年製作の映画)
3.5
私は映画に引き込まれないと10分で観るの止めちゃったり、途中で止めてご飯食べたりしちゃうのですが、これはオシッコさえ我慢して観てしまいました。

あらすじを書いちゃうと面白味が半減してしまうので、とりあえず「ミステリー・サイコ・ホラー」映画?とでもカテゴライズしておきましょうか。

主人公のダニエルは精神病院の先生で、精神病の患者さんが何人か出てきて、「ああ〜、精神病院の先生って大変なんだなあ」と思わされたり、ナースたちが普通に笑ったりしながら仕事をしているところが却って不気味です。

私はこういう仕事って本当に気の毒に思っていて、殺人的な労働時間、患者さんに親身になって上げたいけど、ずーっとそうやって心身投入して仕事をしていたら、精神も身体も持たない。だから患者さんと感情を切り離して、淡々と、しかも楽しく仕事をするしかないのですが、そうなると、患者としては「モノのように扱われる」のような感じがして不安。

ダニエルは患者思いで、なるべくたくさんの患者を治療して上げたいんだけど、精神病の人は暴力的にもなり得るし、自殺されたり、スタッフや他の患者を傷つけたりすると訴訟になるので、ものすごいペーパーワークを書かないと患者を受け入れられない。ダニエルはそういうルールを破ってでも患者を受け入れたりして、病院責任者と揉めたりする。

こういう精神病院の描写がリアルで興味深いし、そこはかとない不気味さもあるし、これがストーリーの重要なカギになっていて面白いんです!!

で、もう一人の主人公、というか、助演?は、エドワードという検視官なんですね。ダニエルは30代くらいの男性なのですが、エドワードは初老の男性で、自殺した人の検視を頼まれて病院に行くんですが、死体が消えている。

検視官の仕事も、解剖するところとか見せるんですけど、グロ過ぎず、美化もされてなく、ちょうどいい気持ち悪さでリアリティがあっていいです。

この人も良心的な人で、死体の身元を調べようと、自殺現場を担当した刑事に会いに行くのですが、刑事も身元のわからない男の自殺なんて大事じゃないと言わんばかりの態度で、エドワードが自分で現場に足を運ぶしかない。

現場は安いモーテルで、警察は部屋を「立入禁止」にしたまま。ホテルの経営者は何度も警察に電話したけど取り合ってももらえず、商売が成り立たない。これも真実味があるなあと思いました。警察も次から次へと事件は出てくるし、でも現場となったホテルもたまったもんじゃない。

この検視官が自殺者の調査をするのが探偵モノみたいで面白く、ダニエルの精神病院のホラーっぽいシーンと交互に出てくるので、飽きないんですよね。エドワードのシーンとダニエルのシーンの色彩というかトーンも違くて、エドワードは外の明るい感じ、ダニエルは病院の黄色っぽい(ジェイク・ジレンホールの『複製された男』みたいな)トーンなんですよ〜。

この先はネタバレになってしまうので、コメント欄で!
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