わきお

リチャード・ジュエルのわきおのレビュー・感想・評価

リチャード・ジュエル(2019年製作の映画)
3.8
◾️「真実」と「事実」

リチャードは少し風変わりながら正義の意味を誰よりも信じる男。アトランタ五輪の警備スタッフとしてイベント会場に配置された彼は、喧騒の中で爆発物らしき物を見つけいち早く行動に乗り出す。次の瞬間爆発が起きるも避難を促したリチャードは世間から賞賛を浴びる。しかし、第一発見者である彼自身に犯人の疑いがかけられ…
と言うお話。

新聞や報道が提供する情報が「真実」であることが前提と考えるが、その深度が足りないままの情報は「真実」になりうるのか考えさせられた。
リチャードはたしかに変わり者で、決して高くはない階層に属する独身の白人男性ではある。たしかに彼のようなタイプが犯罪に走る傾向にある「事実」はあるかもしれない。ただし、それは事件において「真実」になりえていない。

報道は情報を聴衆に対して間接的に届ける責務を負っているからこそ、その情報の確実性には重い責任がかかっていると改めて知らしめた作品です。
個人的に、今日の報道姿勢に色々思うところがある私にとってはなかなか印象深い作品となりました。
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