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戦争のさなかでのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

戦争のさなかで(2019年製作の映画)
1.5
[伝記映画はネタギレかもね] 30点

適当な穴埋めに入ったらアメナーバルの新作だった。久しぶりにその名前を聴いたな!と思ったが、コンスタントに新作を出しているようだ。フランコ政権誕生前夜のスペインを生きた文豪ウナムーノの晩年を描いた作品。彼は明確な支持政党もなく自分が好きなことをやってくれる人を頼るという自分大好きお爺さんとして描かれており、自分自身を老獪で立ち回りの上手い人間と思っているようだ。しかし、彼は上手く機嫌を取られて操られているだけの存在であり、権力を欲する軍人たちのある種隠れ蓑になっていたに過ぎない。映画は只管この頑固な爺さんが自分の主張を頑なに守り続ける様を映し続け、全てが手遅れになってから空を切るような最後の手を打つ。演出も撮影も全てが堅実で、そこは"巨匠"として安定のクオリティを保っているのかもしれないが、正直伝記映画そのものがネタギレしている感じなので、イマイチ突き抜けない題材をイマイチ突き抜けない演出で映画にしたってイマイチ突き抜けないことに変わりないだろう。

伝えたいのはこうだ。彼みたいにオイシイとこばっかみてると国が崩壊するぞと。ラヴ・ディアスと一緒だ。ただ、あまりに堅実すぎてお説教のようなのもまた事実であり、ディアスのようなスリムなスマートさは欠いているように思える。『停止』もそこまでスリムな感じはしないけど。
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