不時着した青年が不気味なくらやみ巨人の追手を逃れバイクでひた走る、この上なく美しくミステリアスな大地。寓話性とか比喩とかは後で考えよう。まずは経験したことのない文脈が息づく、国籍のない新しいアニメーションに没入しよう。
いくつかの章に分けられた本編で語られる青年の旅は、逃げ続けなければ巨人に追いつかれ捕食されてしまう濃厚な死の匂いと、走り続けることで次々と新しい景色に出会える生の喜びが一体。会話もなく、説明もなくただ映像の説得力だけで観客を旅に誘い込む。
本編終了後の日本版エンディングは、the pillowsの曲をバックに映画の名場面を振り返るというもの。本編の荘重な劇伴と一緒に旅をしてきた後で一瞬面食らうけど、慣れると青年と動物たちが生を謳歌する生き生きした動きが強調されてこの作品の新たな側面に気づかされた。音楽の違いだけだけど。面白い。
絵自体もすごく綺麗なんだけど、構図とかカメラワークに独特のセンスがあっていちいち「あっあっかっけぇ・・」と思わせてくれる。これ一人で作ったの？才能ありすぎでしょう。
