YYamada

ジェントルメンのYYamadaのレビュー・感想・評価

ジェントルメン(2019年製作の映画)
3.5
【サスペンス映画のススメ】
〈ジャンル定義への当てはめ〉
 ○: 観客の緊張感を煽る
 ○: 超常現象なし

◆作品名:
ジェントルメン (2019)
◆サスペンスの要素:
・大麻ビジネスの抗争の行く末

〈本作の粗筋〉 eiga.comより抜粋
・イギリス・ロンドンの暗黒街に、一代で大麻王国を築き上げたマリファナ・キングのミッキーが、総額500億円にも相当するといわれる大麻ビジネスのすべてを売却して引退するという噂が駆け巡った。
・その噂を耳にした強欲なユダヤ人大富豪、ゴシップ紙の編集長、ゲスな私立探偵、チャイニーズ・マフィア、ロシアン・マフィア、下町のチーマーといったワルたちが一気に動き出す。莫大な利権をめぐり、紳士の顔をした彼らによる、裏の裏をかくスリリングな駆け引きが展開する…。

〈見処〉
①「一流の、紳士(ワル)たち。」
 G.リッチー流、クセ者たちの群像劇
・『ジェントルメン』は2019年に製作されたアメリカ・イギリス合作のクライム・サスペンス。
・主演は『インターステラー』のマシュー・マコノヒー。『キング・アーサー』のチャーリー・ハナム、『シンプルフェイバー』のヘンリー・ゴールディングに加え、英国系の大物俳優、コリン・ファレル、ヒュー・グラントら豪華なキャストが顔をそろえる。

②今度こそ復活?ガイ・リッチー
・本作の監督ガイ・リッチーは、のちに『キングスマン』の監督となるマシュー・ヴォーンと共同製作した『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』(1998)、『スナッチ』(2000)により華々しい監督デビューを飾り、ダニー・ボイルと双璧を成す英国気鋭の監督として評価された人物。
・その後、当時の妻のマドンナを主演に配した監督第3作『スウェプト・アウェイ』(2002)が厳しい批評を受け、低迷期に突入。
・その後、ロバート・ダウニー・Jrを主演に迎えた『シャーロック・ホームズ』2部作(2009・2011)、『コードネーム U.N.C.L.E.』(2015)にて、キャリア復活を印象づける手堅い演出を見せる。
・しかしながら、続く『キングアーサー』(2017)がハリウッド史上最悪レベルの1億5000万ドルの赤字となり、ガイ・リッチー2度目のやらかし作品に。
・絶体絶命のガイ・リッチーは『アラジン』(2019)の起死回生の大ヒットに続き、本作では、作品テーマとハイテンポな演出により「歓迎すべき原点回帰」「ギャングスタ―・コメディへの凱旋」と評判を呼び、世界的ヒットを記録。まだ53歳の早熟監督
ガイ・リッチーに安定期は訪れるのだろうか?

③結び…本作の見処は?
○: 英国ギャングスターを題材にしたハイテンポな演出は、公開時の論評とおり、『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』当時に原点回帰したような作品、ガイ・リッチーならでは。
▲: とはいえ、展開が早い作風では、対立する複数チームを描く群像劇には相性が悪い気がする。各人物の背景描写が弱く、鑑賞後の解説を見ないと理解が追い付かない。字幕もイマイチで、高額の事業売却額の通貨単位がなかなか表記されず、脳内未消化の出来事が最後まで積み重ねさせられる。
▲: マシュー・マコノヒー以外の出演陣の容姿変貌ぶりには、あまり好意的な印象を抱けない。とくに、偽ロバート・ダウニー・Jr風貌のヒュー・グラントに寂しさを感じる。

少々期待外れ…2000年当時にガイ・リッチー批判は映画愛好家の間では、ご法度のような雰囲気があったことを本作鑑賞にて思い出しました。
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