ネブュラー

聖なる犯罪者のネブュラーのレビュー・感想・評価

聖なる犯罪者(2019年製作の映画)
4.2
全体的に緑がかり、色彩に乏しい鬱屈とした村の雰囲気。瞳孔が開いちゃってるのか、クラブシーンから見せつける「やばい奴」の眼光。この全体のただならぬ雰囲気が静けさをもって、よりセンシティブに観客である自分の感覚を刺激する。
救いを求める若き罪人が、形式ではなくリアルな言葉を投げかけ、周囲によって彼を本質的な意味で、神父というポジションに確立させる。誰しもが備える二面性の中で葛藤を抱きながら、最善を目指していく。
ある事件を中心に、さらに物事が善悪両方の側面を持ち合わせ、絶対的な判断を下すことは無理だと感じさせ、理解しあうよう最善を尽くすことが誠実なんだと、問いかけられているような気がする。
信念を貫くことは難しいことで、人生の中で流動的に立ち替わる自分の役割が、行為を選択させることもある。そんな矛盾に満ちた部分が人間らしさだと思うし、その矛盾に葛藤し赦しを乞う生き物であることを、主人公が人間味あふれる演技で見事に体現したのではないかとラストシーンをみて感じる。
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