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白頭山大噴火の福福吉吉のレビュー・感想・評価

白頭山大噴火(2019年製作の映画)
3.5
◆あらすじ◆
北朝鮮と中国の国境にある白頭山が噴火し、朝鮮半島は大地震により壊滅的な被害を受ける。研究者のカン・ボンネの発案により、チョ・インチャン率いる韓国軍の部隊は北朝鮮に潜入し、核ミサイルを奪取し、白頭山の地下で核爆発を起こすことで続発する噴火を防ぐといった危険な作戦に挑むことになった。

◆感想◆
火山の噴火という大災害とともに危険な極秘任務に挑んだ韓国軍のイリーガルな奮闘を描いており、韓国、北朝鮮、アメリカ、中国といった国々の思惑が絡んだスリリングな内容になっており、かなり濃密で劇的な面白さを感じました。

主人公のチョ・インチャン(ハ・ジョンウ)は韓国軍の爆発物処理班に所属していたが、妻が妊娠中で除隊を望んでいたが、白頭山の噴火により危険な任務につくことになってしまった不運な人物として描かれており、その性格は優しく気の良い兄貴といった感じで、軍人らしさの無い愉快なキャラクターでした。本作の各国の事情の入り混じった緊迫感のある状況でも彼の存在がうまくストーリーをガス抜きしていて、作品全体にバランスをもたらしていました。

白頭山の核爆発作戦を発案したカン・ボンネ(マ・ドンソク)は以前から白頭山の爆発の危険性を示唆していたにも関わらず、政府に無視されていたことにより韓国に愛想をつかしていた人物でしたが、爆発したことで不幸にも政府に無理やり召集されます。そもそも成功の確率の低い作戦であることもあって、彼自身あまり乗り気でないことが描かれますが、それでも彼の頭脳が作戦の成否を握っていて、最後まで付き合うことになります。マ・ドンソクにアクションシーンが無いのは少し残念に思いました。

本作のキー・パーソンであるリ・ジュンピョン(イ・ビョンホン)は北朝鮮の軍人だが、スパイであることが発覚して収容所に捕らえられており、北朝鮮の核兵器の所在を知る人物としてインチャンたちの確保すべき目的となります。性格的にかなり一癖も二癖もある人物であり、しばしばインチャンたちを煙に巻いており、なかなか本心を示さない面白いキャラクターになっていました。インチャンとジュンピョンの小競り合いがとても楽しくて、本作の見どころの一つになっています。

本作はとにかくストーリーに多くの出来事を詰め込んでおり、前述のとおり他国の軍部の思惑を絡めることで、スケールの大きい濃密な内容になっています。北朝鮮の核ミサイルを奪うという突飛な内容でありながら、それを強引にも楽しめるようにストーリーを構築しているのは韓国作品ならではだと思います。

白頭山の噴火により、朝鮮半島の街並みが破壊された映像がリアルに描かれており、それぞれのシーンに説得力をもたらしていました。降り注ぐ火山弾を避けながら突進する自動車のアクションシーンは迫力があって面白かったです。

ラストはかなり駆け足になっていてもう少し映像があっても良いかと思いましたが、それでも良かったです。

なかなか面白かったと思います。ハ・ジョンウとイ・ビョンホンの駆け引きの面白さだけでも十分に見ごたえがあって楽しめました。

鑑賞日:2024年4月23日
鑑賞方法:CS ムービープラス
(録画日:2023年7月22日)
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