ヒョーク

消された存在、__立ち上る不在のヒョークのレビュー・感想・評価

4.3
@YIDFF2019
幾重にも重なった街頭のポスターを剥がしながら、市松模様を形成する単なる記号となってしまった行方不明者の写真に名前を添えていくことによって、あるいは行方不明になってしまった友人をアニメーションとして動かすこと(それは全くドラマティックではなく、ただ風が吹き服や草木が揺れるだけ)によって実存が取り戻されるプロセスが描かれる。そうして取り戻された実存の裏で不在はさらに強調される。ドキュメンタリー映画という手段を用いて感情的な記憶ではなく、実存とその不在の記録を試みること。最近読んだ東浩紀の論考『悪の愚かさについて、あるいは収容所と団地の問題』ともリンクする部分があり、映画祭の作品の中で一番印象に残った。
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