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すばらしき世界のoden8のレビュー・感想・評価

すばらしき世界(2021年製作の映画)
4.4
"俺はもう極道じゃなか。今度ばっかりは堅気ぞぉ。"
by 三上正夫

"撮らないんなら、割って入ってアイツ止めなさいよっ!!止めないんなら、撮って人に伝えなさいよっ!!上品ぶって。あんたみたいなのがっ、いっちばん何も救わないのよっおっ!!!"
by 吉澤さん(ブチギレまさみん💕)

"娑婆は我慢の連続ですよ。我慢のわりに大しておもしろぉもなか。やけど。空が広いちいいますよっ。三上さんっ!!不意にしちゃいかんよっ!!!"
by オカミさん

コスモスの花言葉。"調和" "謙虚"。

それとは真逆の三上さん。
もはや、役所様は演技モンスターやん。地の底から沸いてくるかの様な怒りを表現するの巧すぎでっしゃろう。
演じた役所様の博多弁が時に荒々しく、またある時はとても優しくていいんです。まんま九州男児や〜ん。
僕の父親の実家が北九州なので、めっちゃ耳馴染みがよくノスタルジックでセンチメンタルな感情が湧いてきて心地よかったの。
太賀くん演じる津乃田のキャラも、三上にナチュラルに寄り添う感じが素敵やったよねぇ。てか、太賀くんの演技も巧すぎなのよっ。こんな素敵な俳優さんやとは思ってなかったわん。

なんだろうな。"ショーシャンクの空に"の出所版。個人的には、そんな印象を受けたかなぁ。
普通に生きてても、社会は荒波なのに。あんなに真っすぐで感情が荒波な人からすると…。そりゃあ血圧も爆上がりだよね。感情荒波系でいうと、僕もそうなので…。三上さんにめっちゃ感情移入してもうたなぁ。

作品としてのバランスも最高。
三上さんが、ブチギレていつやらかすんかヒヤヒヤさせられながらも。適度に"もう三上さんたら〜"とクスッて笑えるクッションシーンがあり。しっかりと、三上さんと彼を囲む人たちの心の機微が描かれてのも没入感を高めてたよね。

社会で生きていくことの厳しさ。それが物凄く伝わってくる作品よね。勿論、厳しさだけではなく。素晴らしさも描かれているの。だけど、その素晴らしさがね。より、三上さんを苦しめていた様にも見えなくもないよね。
真っすぐな人故に、素晴らしさをしってしまうと…そうではないことを許せなくなってまうこともあるものね。

人が人と真正面から触れ合った時に、世界はこんなにも色づくんですね。
誰かが、許せない自分を信じてくれた時。それに真正面から応えること。それは物凄く大切なこと。それと同じくらい、生きる為に逃げることも大切なんだよね。ただ逃げるのではなく、その人たちの想いに応えるために。
ただただ、その気持ちを受け止めること。

前科があろうがなかろうと。心に何かしらの罪を背負ってる人なんて、少なくないんやないやろうか。

空が広いからこそ。どこかには、すばらしき世界がきっとある。
それを見つけられるかは、自分の心次第。

キミがくれた花の美しさ
今までの人生にはなかったもの
今も曲がったことが許せない
でも それよりも大切なモノを知ってしまった
凌げば尊し
黄色い自転車に乗り続けること
アナタたちがいる
すばらしき世界で

"良かったねぇ〜っ。スロースタートでもいいんだよぉ。"
"あげるんじゃないんだよ。働いてちゃんと返してよ。"  
by 同郷の店長松本

"あんたみたいな人には、世間は生き辛かでしょうが。"
by 久美子さん

Cast(役者·キャラ) 4.5
Story(物語) 4.5
Architecture(構成) 4.5
Picture(画) 4
Acoustic (音) 4.5
23-415
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