マキユ

海辺のエトランゼのマキユのレビュー・感想・評価

海辺のエトランゼ(2019年製作の映画)
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原作を再現するだけでなく、解釈を深めて再構築されていてとても良かった。駿と実央がお互いに出会えてよかった.......
原作を知らなかったりBLに馴染みがない人も観てほしい......何卒......

前半、駿のダメな感じが原作より増しており「おい!実央をもっと大事にしろよ!」という気持ちが湧いたのだけど、前半で挟み込まれていた駿の過去のシーンがジワジワ効いて、本島で気持ちがぶつかり合うところで駿の辛さと本当の願いというか欲みたいなのがあふれて伝わってきて、泣きながら許してあげた。(誰目線)

初めてふたりが抱き合うシーンは、あんな数分に駿が初めて好きな人と抱き合える喜びがこれでもかというほどに詰まっていて、こんなに美しいシーンがあるのかよ......と胸がいっぱいに。

BLでときどき見る「男だからじゃない、きみだから好きになったんだ」というセリフは個人的にご法度だと思っているんだけど、実央くんは「女の子がすきだよ。でも駿を好きになった。男が好きでもおかしくないよ」と駿くんのセクシュアリティを全肯定する。原作を読んだときはさらっと流してしまっていた箇所だけど、原作にはない解釈を深めたシーンを追加して映画として再構築されたことでこれまでの駿のゲイとしての苦しみが一層感じられたあと、最後にこのセリフがきたのでダバダバ泣いてしまった。

他にも幼少期の実央くん(あまりにもかわいい)とお母さんのシーン、実央くんの手首の二本のミサンガ、桜子ちゃんの回想と現在の対比 などなど本筋に影響はないが映画独自に盛り込まれたシーンが本当によかった.......
劇伴やSEも見所だと思った。沖縄の島のいろんな音がとてもよくて映画館で観れてよかったなと思う。
EDが力の抜けた明るい曲なのもみおしゅんって感じでピッタリだなと思う。

よ、よかった......
(よかったよかった言いすぎである)
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