ソロアーティスト売上世界一を誇るキングオブロックことElvis Aron Presleyの生涯を描いた伝記映画。
Baz Luhrmann監督・脚本。
共同脚本には、ずっとタッグを組むCraig Pearce。
エルヴィスというレジェンドを演じることは量り知れないプレッシャーがあったと思うが、見事に演じ切ったAustin Butler。
オースティン・バトラーは、エルヴィスの自宅グレイスランドに一時期住み、エルヴィスを徹底的に研究したらしい。
このグレイスランドは、いまテーマパークのようになってるよう。詳しくはBS朝日の『アメ知る』で町山氏が紹介してくれている。
映画自体は…なんだか乗れなかったというのが第一印象。
エルヴィスの初ライブ。若い女の子たちが戸惑いながらも最後には大騒ぎして、黄色い声援を浴びせるところは、思わず泣いてしまった。
40を過ぎてからか…どうも若い女の子の純粋なパワーを感じたり、一生懸命ひたむきに取り組んでる姿を目の当たりにすると、それだけで涙が出てしまうような涙腺になってしまった。
なんでだろう…あの無垢なエネルギーに感動してしまうのだ。
何かに夢中になったり、熱狂できるというその純粋さが単に羨ましいだけかもしれないのだが…
若い男の子よりも、若い女の子だと泣けてしまう。このメカニズムは自分でもよくわからない。ふるふるして勝手に泣けてくるのだ。
ということで、このエルヴィスのファーストライブ?映画の中での初ライブまでは良かったのだが、ここから集中がもたなくなり、眠くなってくる。
Tom Hanksが演じた悪魔に魂を売ったかのような極悪人のパーカー大佐とエルヴィスの関係を主軸にしてラストまで進んでいくのだが…
大佐との関係よりも、ロックンロールが誕生したその瞬間にピークを合わせて欲しかったような…
もっと少年時代や、売れるまでの過程を長く見たかったと個人的には感じた。
ロックンロールがぶぅあーと花開いて終わってくれないと、これだと…どんよりした気持ちで劇場を後にしなきゃいけないから、帰りの足取りが重たくて辛い。
資本主義の悪い面が、思いっきり描かれていて…それが現代ではさらに一層激しくなっていて、富める者だけがさらに富、その他99%が貧しくなっていくというアンフェアなシステムの中に生きている自分が悲しくなる。
儚くも資本主義の犠牲になってしまったエルヴィス。ボロボロになるまで薬漬けになって早死にしていく。
これはJudy Garlandと全く同じことをしてる。なぜ同じことを繰り返すのか?
強欲だよ人間は…本当に。
嫌んなっちゃうね。
人を押し退けて自分さえより儲かればいいというような危険な思想でもあるし、それが資本主義を具現化した答えでもある。
エルヴィスだからとか、ジュディだからとか…それに限らず、全てのことに当てはまる。一度何かで稼ぎ出したら、それが出涸らしになるまで使いきるという恐ろしいシステム…というか考え方というのか…
華やかなエルヴィスを見に来たのに、悪魔の資本主義の見本のようなものを見せられるとは思わなかった。
パーカー大佐なんかより、もっとエルヴィスの良さを、いかにエルヴィスが凄かったかというところを見たかった。
『大滝詠一のアメリカンポップス伝』というラジオで、エルヴィス誕生前夜から、いかにエルヴィスが画期的だったかということを師匠が懇切丁寧に語ってくれています。こちらの方がオススメです。