ぶみ

ロード・インフェルノのぶみのレビュー・感想・評価

ロード・インフェルノ(2019年製作の映画)
3.5
あおり運転した相手が、イカれたサイコパスだった!!

ルドウィック・クラインス監督、ユルン・スピッツエンベルハー、 ウィレム・デ・ウルフ等の共演によるオランダ製作のスリラー。
あおり運転をした相手に、執拗に追いかけられる主人公等の姿を描く。
主人王となる男性・ハンスをスピッツエンベルハー、妻・ディアナをアニエック・フェイファー、ハンス家族を追いかける謎の男をウルフが演じているほか、ハンスの娘役として、ローズマリー・バン・デル・ホーク、リズ・フェルヘールが登場。
物語は至ってシンプルで、妻と娘二人を乗せ、実家に向かう途中、ハンスがゆっくり走る白いバンに苛立ち煽ってしまったことから、バンに乗る男に執拗に追われる姿が描かれるのだが、このプロットは、私のベストムービーである、スティーヴン・スピルバーグ監督『激突!』や、近年ではデリック・ボルテ監督、ラッセル・クロウ主演による『アオラレ』を思い出すところ。
本作品では、冒頭から謎の男が素顔を出していることと、明確に主人公が煽り運転を行っていることから、顔の見えない相手から不条理に追われる怖さを描いた『激突!』よりも、どちらかと言えば『アオラレ』に近い作風であり、また、除草剤のようなものを武器として追いかけてくる謎の男のサイコパスっぷりは、ロバート・ハーモン監督、C・トーマス・ハウエル主演による『ヒッチャー』を彷彿とさせるものとなっている。
そんな所謂ロードレイジをテーマとした本作品、もちろん煽られたことに対してブチ切れる謎の男も当然悪いのだが、明らかな煽り運転を行い、謎の男のサイコパスっぷりが垣間見えた後でも、なお反抗するハンスの態度も決して褒められたものではなく、正直そこに関してはどっちもどっちな印象。
ただ、そんな相手を小馬鹿にしたような態度で、家族の前でもマウントを取り続けたハンスが、終盤、全てを捨て去り人前でシャワーを浴びるシーンが何とも言えない情けなさを醸し出しており、そうなったこと自体がハンスにとって最大の辱めだったのではと感じた次第。
さて、問題はここから。
これはもうB級あるあるであり、あえて狙ったのではないのかと思う節もあるのだが、劇中でハンス一家が乗るクルマが黒いボルボ・XC90であるのに対し、イメージビジュアルにあるのは、何故かクライスラー・300Cもしくはアウディ・A8かのようなクルマで、SUVからメーカーも違うセダンへ変更されているのは、もう笑うしかない。
前述のように、喧嘩両成敗な面も見られるし、原題である『BUMPERKLEEF』はオランダ語でテールステッカーという意味であり、英題は煽り運転を意味する『Tailgate』と直球のタイトルどおり、煽り運転の成れの果てが描かれるとともに、常にマウントを取り続ける男の何とも言えない悲哀が最後に滲み出る一作。

それは、あなたが決めることじゃない。
ぶみ

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