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バビロンのbeachboss114のレビュー・感想・評価

バビロン(2021年製作の映画)
3.0
あー、これ、書いているうちに途中で闇スイッチ入るかも。抑え切れる自信ない。この映画、気に入ってる人は読まないで。自尊心がズタズタになるかもしれないから。

3時間とはいえ、寝落ちさせないだけの吸引力はあるし、見どころもなくはない。

マーゴット・ロビーって、こういう役がピッタリというか、愛嬌あるビッチやらせたら俄然輝くよね。チャーミングで底抜けな陽気さの中にしっかり陰も感じさせるし。チョイ役トビー・マグワイアが奇人変人を楽しそうに演じてオイシイところをさらっていったと思ってたらエグゼクティブ・プロデューサーでした。ブラピは正直どーでもいい。主役のメキシコ人、誰やねん。

観客をどこに連れていきたいのか分からないまま、前に進んでいるようでいつまでも足踏みしてるから「一体これ、何がしたいの?」って思ってたら、最後に分かったからまぁいいや。言いたかったことは理解できた。「好きなもの(=映画)の一部になりたい」という気持ちも分かる。

でも、基本的にゲテモノだし、テーマもストーリーも「今さら」だわ。

劇中にも引用されている『雨に唄えば』を下品でギラギラ・ゲロゲロにリブートさせた感じ。

当時の破天荒な撮影模様とか、ギャングに返す札束を「用意」するくだりとか、それぞれ個別のエピソードには面白いものもあったし、クライマックスのゴシップ記者のセリフも秀逸だったんだけど、ぶっちゃけ全編を貫く「映画愛」ってのがキモチ悪かった。

そりゃ、映画好きなら誰にでだってあるさ、映画愛(私でさえ)。でも、他人の映画愛って堂々と見せつけられるとキショイんだよ。引きこもり中年男のセ●ズリを砂かぶり(汁かぶり?)で見せられているかのような不快感とでも言おうか。

特に、業界人の映画愛ってマスターベーション以外の何物でもないし、どこかコンプレックスとないまぜの優越感みたいなものがチラついて鬱陶しいんだわ。

映画愛がテーマの作品って名作も多いんだけど、ある一線を越えると一気にキモチ悪くなる。『雨に唄えば』『ニューシネマ・パラダイス』『カイロの紫のバラ』ときて、『グッドモーニング・バビロン』『蒲田行進曲』ぐらいまでがギリギリセーフ。そこに流れる「理性と分別の川」を渡った岸辺に広がる「自己陶酔の花園」に転がってるのが、この作品や山田洋次の『キネマの天地』だと思う。
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