「ララランド」のデイミアン・チャゼル監督最新作。サイレント映画からトーキーへ移り変わる時代に翻弄される映画関係者たちの盛衰を描いた群像劇。波瀾万丈で豪華絢爛、見応えたっぷりの映画だった!
まず冒頭の象の爆裂脱糞シーンからクソビビった。エログロまみれとは聞いてたけど汚すぎるだろ!!(笑)カオスすぎるコメディとして観れた。
感動モノとしてもまあ嫌いではない。映画業界に夢を馳せた男女2人が別々にサイレント映画業界で頑張って、時代の激変の波に揉まれて2人とも変化してってしまうけど、それでも彼女(マーゴットロビー)への愛のエネルギーの強さで闇雲に輝くさま。まあとんでもなく滑稽だが、その愚かなまでの強かさにはなぜかグッと来た。
多様なセレブや映画関係者たちの、煌びやかでありながら地道で苦しく愚かしい人生の絶頂と堕落を闇鍋状態で体験できる。
そしてラストシーン。「動く馬」「ラ・シオタ駅への列車の到着」「月世界旅行」に始まり所謂「映画史に重要な革新を齎した(魅せた)作品群」とマーブル模様が目まぐるしく映し出される。過去の映画を観ることは、本作のマニー達のように映画史の激動に生きた人々の盛衰や混沌とリンクすることにも繋がるのかも。
そんなクリエイター讃歌的な映画かもなと思った。3時間は長え〜!とは思ったけど、映画史の礎となってきた魂を感じれた
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マフィアのくだりとかは映像のおどろおどろしさは超絶好きだったけど、こんなみっちりやる必要ある!?とは思った。いやまあ冒頭が「天国」ならマフィアのくだりは「地獄」で締めるみたいな気概は感じだけど。だったらシドニー編にもっと尺とって欲しかったかな?
ジャック(ブラピ)は初登場から大スターのオーラを纏っていて、主人公達が映画界に憧れるのも分かるなあなんて。そんな彼も栄光に縋る事ができなくなってゆき、時代と共に緩やかに墜落してゆく。
シドニーは時代の変化で大きな権利を獲得できた人物だが、それでもなお…いや個人として世に認められたからこそより一層鋭く、差別意識に刺されてゆくことにもなる。