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アンテベラムのryodanのレビュー・感想・評価

アンテベラム(2020年製作の映画)
4.3
ここまで来たかっ!不条理設定。これはこれでアリですね。見ている側が不条理設定に共通認識があるから成功するんだよね。それが過去に実在していたんだからゾッとするし、目の付け所がイイね。序盤から黒人奴隷時代の描写の中にちょいちょい妙な違和感を出していて、なんか変だな~が種明かしになる。ただその尺が長すぎて忘れるけど。現代に突然ジャンプして、ん?あれ?で、怒涛のラスト。息が詰まる。実際の上映時間より、ずいぶんと長く感じた。割と高評価になったのは、現代パートの方。自分達の人種間の地位向上に着実な手応えを持ち始めた一部の黒人達。地位も名誉も経済力もあり、オバマの影もチラチラと。そんな彼等は公に対して主張出来る立場にいる。手にした発言力。彼等の歴史からすれば、ようやく勝ち取った立場、主張してこそ今の立場を誇示できる。要するに、まだまだとは言いながらも地位は間違いなく向上している。一番の底辺にいた彼等。地位が向上したという事は。。。自分達に下の階層が出来たのだ。そう、それがアジア人な訳。まだごく微かではあるけれども、新たな差別が産まれ始めている予兆なのだ。あの体型で、あけすけに喋りまくる女性の配役は意図的で、アジア人が見たら違和感を感じる様な演出にしている。が、その違和感さえもまた、新たな火種となり得るという負のスパイラルにハマっているんだよね。まぁ、監督がそこまでのメッセージを現代パートに込めたかは不明だけど。以前は、実際に起こる黒人達からのアジア人へのヘイトを報道で知った時は、何故彼等が?と不思議で仕方なかったけど、今作で腹に落ちた感じです。
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