てづか

ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~のてづかのレビュー・感想・評価

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これを美談にしてしまうのはとても危ういとはすごく思う。

結局、描かれているのは戦争なんだろうと思うし。日本のためにお前たちの輝かしい未来を捨てて死んでくれ、と言われてモルモットにされたというだけの話で。

ヒノマルソウル、とはなんなのだろうか?

日本人のダメなところが詰まったみたいな映画だった。あればっかりは古田新太の言ってることが一番正しかったと思う。
あそこで「やらせてください!」となってしまう人も正直怖い。



ただ、わたしもスポーツをやっていたこともあるしスポーツが基本的には大好きだ。観るのもやるのも大好きだし、そこで生まれるドラマ、みたいなものにも感動してしまう所があるのは自覚している。
その中での人間関係として、「なんで俺じゃなくてお前がそこにいるんだ」とか「お前なんか落ちればいいのに」とか思ってしまう気持ちはすごく分かるし、それでも応援してしまう気持ちもよく分かる。
なので、主人公のそういう葛藤の部分は分からないでもないところが少し怖いというか…私自身も葛藤しているところでもある。

競争意識みたいなのも分かるし、結果が全てだと思っていたこともあった。今はそんなことは思わないけども。スポーツをやる人間であれば、1位を取りたいと思うのはある程度仕方がないというか、どうしてもスポーツ選手というものはそこに尊厳をかけてしまうところもあるし、そこが砕かれると死ぬより辛い、という気持ちも分からんでもない。

でも、それは、本人たちよりも周りの偉い人達がその結果だけを求めてくることが一番気持ち悪いことだとも思ってる。

やってる人たちの努力を考えていないから。
国民だってそうだ。
人がどんな思いで銀メダルで帰ってきたかなんて考えていない、想像していないから批判したりする。

裏でどんな思いでいるかは全く考えない、そういうところでの無関心が一番気持ち悪いと私は思う。

スポーツにかける情熱自体は、やっぱり私は否定はできない。

人間がやることだから上手くいったりいかなかったりするものだし、一人でやるものでもないからそこに責任とか負い目とか劣等感とか嫉妬心とかが生まれるわけで、だからこそ努力したり関係性を築き上げて信頼し合ったりとかするから誰かに何かを託したりそれに応えたりができるとも思っていて、それこそがスポーツの熱さだと思う。それだって人間関係だよなとも思う。
そしてそれを観ている観客だって試合を作るパーツのひとつだとも思うし。
すごく色んな要素があって成り立っていることだなあというのはスポーツだけにってわけじゃないけど色んなことに思う。

それをこの映画が出来てたかな?って思うと、、、なんだろなぁって感じ。

たとえば吉田恵輔監督のブルーだったらそういうのを個人のことに終始して描いたことによってこれしかないと思うことは結果だけで報われるものじゃないってのをよく描いてくれてたと思うし、
インド映画のきっと、またあえるも結果だけを求めた末に何があったかというのは描いていたように思う。

それに関してはこの映画は全然だったなあーなんて、思ったりもする。いろんな人にフォーカスを当てて、しかもそれのひとつひとつが割とナイーブな問題ばかりな割にはたいして深堀りもしないようなところは多々あったし、時間の割には内容が薄かったなあとか。

演出がすごく悪いなあというのは田中圭や山田裕貴くんの演技やセリフをみても思うし。


これを美談として喜んでしまうわたしたち日本人ってのは本当にどうかしちゃっているんじゃないか?とも思うし。


あと、かの有名な「船木〜(泣)」が聞けなかったのもめっちゃイラッとした(笑)

これは邦画あるあるなんだけど、すごく長く感じた映画ではあった。

そして絵面や色合いが変わり映えもしないから本当に退屈だったし眠かった。


なんだろう。

しんどかった。
てづか

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