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ジョゼと虎と魚たちのmasayaのレビュー・感想・評価

ジョゼと虎と魚たち(2020年製作の映画)
3.9
 この時代の為の「希望のジョゼ」。同じ枠組に肉づけの仕方一つでここまで原作とも実写版とも風合いの変わった物語が生み出されるとは。それでも人が他者と相対することで、昨日までとは決定的に違う自分になる、出会いの不可逆性というこのタイトルのテーマは通底していた。
 出会うことで人は変わる。隠れるように生きてきた足の不自由な女の子、魚と一緒に泳ぐのが好きな健常者の青年、海、太った猫、甘いクレープ、同じ作家が好きな人、同じ人を好きな人。世界には色んな人や物があって、望むと望まざるを問わず出会うことでその人を形作る要素になる。

 出会った後に、出会う前には戻れない。それは小さな誕生のようなものだから。
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