kentaromori

すでに老いた彼女のすべてについては語らぬためにのkentaromoriのレビュー・感想・評価

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「「不敬文学」という言葉がありえるなら「不敬映画」という言葉もありえるのではないか、あったとしたらそれはいかなるものだったか。映画監督である私は、試みとしてそのような問いを仮設し、この作品を企画した。[•••]一杯の密造酒、一個の石くれのごとく、種の名を持たぬ作品であるべきだ。思いはまずそこにあった。」
(渡部直己『不敬文学論序説』解説・青山真治「いまだ彼女は鍋の中で」)


「辛よ さようなら/金よ さようなら/君らは雨の降る品川駅から乗車する[•••]君らは雨にぬれて君らを追う日本の天皇を思い出す/君らは雨にぬれて 彼の髪の毛 彼の狭い額 彼の眼鏡/彼の髭 彼の醜い猫背を思い出す[•••]君らは出発する/君らは去る/そして再び/海峡を躍りこえて舞い戻れ/神戸 名古屋を経て 東京に入り込み/彼の身辺に近づき/彼の面前にあらわれ/彼を捕え/彼の顎を突き上げて保ち/彼の胸元に刃物を突き刺し/返り血を浴びて/温もりある復讐の歓喜のなかに泣き笑え」
(中野重治「雨の降る品川駅」初出詩)
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