雑種

プロミシング・ヤング・ウーマンの雑種のレビュー・感想・評価

4.5
キャシーの生き様は決して正しいフェミニズムの在り方ではないし理想的な女性の人生として希望が持てるものでもないけど、女性は他の女性の為に自分の全てをかけて戦うことができるし、武器や暴力という手段を使わなくても(たとえそれが正義ではなくても)、男性を黙らせる事が出来るとゆうのを証明してくれた。

性犯罪において「被害者(まともに抵抗出来ない状態の若い女性)にも落ち度がある」なんてぬかす全人類と、女性蔑視した過去を「子どもだったから」で済ませようとするチンカス共に観てほしい映画。化粧は抑圧だなんて否定しながら素っぴんを欠点だと表現する男、酔ったふりして実はシラフだった女性のことは“サイコパス”と呼ぶくせに、その女性をお持ち帰りして合意もなく事に及ぼうとしたことを責められたら“俺は良い人間だ”と言い逃れる卑劣な男。キャシーの「あんたこそ自分の顔面見たことある?」ってセリフ、私も人生で500回くらい心の中で言ったことがある。

辛くて悲惨な過去を乗り越える事をあえて拒んで、「あなたのためにも前に進んで」という周りの言葉にも耳を貸さず、自分が犠牲になってでも男共に裁きを下すキャシーとゆうキャラクターがあまりにも愛おしすぎた。7年前から感情の全てが悲しみと怒りに支配されているキャシーにとって、自分の行いは全てはニーナの死に報いる為でそれが善か悪かはきっともう関係ないんよな〜。

ニーナが一番輝いていたはずの時代を奪って壊した人間に対しての裁きが人生で一番絶頂の瞬間であろう結婚式で下されるの、大正解。ライアンをあそこまで自然な感じでいい奴に描いてたのも皮肉きいててめっちゃ良かった。実行犯では無いわけだし、きっと今は本当にいい人間なのかもしれない。でもいい人間だから過去の過ちを“忘れても”許されるのか?と問われると絶対にNOなわけで。だからあの弁護士の様に自分の人生をかけて償おうとしてる人がいたのがキャシーとニーナの唯一の救いだったかもしれない。

なんだか観終わったあとにしみじみとキンズバーグ判事が引用したサラ・グリムケの「男性の皆さん、私たちを踏みつけるその足をどけて下さい」という言葉を思い出したな。


キャリーマリガンがインタビューで「他の女優がキャシーを演じるのを想像すると怒りが込み上げて来た」ってゆうくらい脚本とエメラルドフェネルに惚れ込んで役をもらったらしいけど、一度キャリーマリガンが演じるキャシーを見てしまったらこの役はもうキャリーマリガン以外には考えられないな。無言で男をガン見するだけで黙らせることが出来るのはキャリーマリガンだけ。


ところでアカデミー賞での監督のエメラルドフェネルのスピーチがしぬほど最高だったからぜひ観てほしい😂そういえば劇中でキャシーが見てたメイク動画の人、フェネル監督だよね(笑)

https://youtu.be/3P0OrAqP_pg

♪Angel of the Morning
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