猫とフェレットと暮らす人

プロミシング・ヤング・ウーマンの猫とフェレットと暮らす人のネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

キュートでクレバーでサイコパスなふりした女性がが親友のために復讐をする、オシャレ映像とストーリーの緩急(ロマンチックと恐怖感)が凄い、こっわこわのコワでイカした道徳の映画。

酔った勢いで女性にあれをしようとすることしか考えてない男性をサイコパスなふりして精神的な方法で鉄槌を下していくんだけど、怖いんです。こっわこわなんです。
物理的な暴力じゃなくて、精神的に迫っていくクレバーなやり方が気持ちいいんです。

でも、途中はキュートでロマンチックでもあるし、キャシー(キャリー・マリガン)とライアン(ボー・バーナム)の会話が軽快な下ネタ合戦でおもしろい。
この映画、わりとぶっ飛んでて、でも、全体的に見てる側の感情を揺さぶってくるので凄い演出です。

主人公のカサンドラ・トーマス=愛称はキャシー(キャリー・マリガン)がめっちゃいろんな意味で魅力的なんです。

最初のベットの上で目をギョロリも怖いけど、まだ、なんのこっちゃわからん。
ちょっと進んで、コカインやってる奴の所で、迫ってくるサイコパス感、こっわ。
ノートに何の数えとんねん。こっわ。

自分が勤めるコーヒーショップで医大の同級生だった今は小児科医ライアンと再会して、医大の頃の友達と交流あるのか?的な会話の時から流れ出すBGM、PCで医大の友達の近況を検索してる時に曲が盛り上がって、音楽もこっわ。

小児科医ライアンとの恋愛映画かと思わせといて、同級生と会うシーン「Ⅰ」のピンクのロゴマークが意味深でこっわ。
同級生の女性マディソンを酔わせて、知らん男の人にカギとカネを渡して、こっわ。

「ⅠⅠ」3時間前に学部長の女性ウォーターの娘を誘拐してて、こっわ。娘から携帯電話をさり気なく奪っといて、ここで眼の前のウォーターに電話をかけさせて、手元に持ってた娘の携帯電話が鳴って取り出してビビらす方法、頭良すぎて、こっわ。

交差点で車乗ったままでいたら、男の人に汚い言葉で注意されたら、ブチギレてバールでフロントガラス割るとか、こっわこわ。

「ⅠⅠⅠ」のロゴ、こっわ。「ⅠⅠ」の時はロゴじゃなくてノートに書いてるのチラッと写しただけやったのに、ドンという音と共にロゴ出た、こっわ。
そして、この弁護士の人、招き入れたし、ニーナの事を覚えてたし、違った展開で、脚本上手すぎて、こっわ。
で、弁護士が悔やんでて、謝ったら許したけど、サイコパス発揮してなくて、逆にこっわ。

また、小児科医ライアンに会って、恋人関係やり直すとか、しないとか、のくだりがあって、閉店時に来て、キスして、薬局でメルヘンチックにデートって、物語の緩急が大きすぎて、こっわ。

この映画どっちなん?怖いの?怖くないの?
小児科医ライアンを両親に紹介したりしてラブラブやん、怖ないやん。

で、次の展開で「Ⅰ」の女性マディソンが現れて親友ニーナの当時の動画が入った携帯電話を置いて行って、去り際に二度と連絡すんなって、こっわ。やっぱ、こっわの映画やん。

動画再生したら、音声にライアン!と呼ばれてる?!
ライアン現場におったんかい!こっわこわのコワ。

でよ、その動画見せにライアンの所行くのこっわ。
正直、カメラワークで、あえて手元を映さないの恐怖を駆りたてるんですけど、主人公キャシーがハサミ持ってるかもなシーン(黒人男性に言うだけ)あったんだから、こっわ、なんですけど。

ついに、「ⅠⅠⅠⅠ」の、ロゴ。このときのBGM("Toxic" by Britney Spears : "毒" ブリトニー・スピアーズ)のアレンジがカッコイイから、こっわさが引き立つ。

パンクでイカれた女性の医者姿で登場、こっわ。
合法麻薬(酒)+α をぶっかま、こっわ。
ピンクのふわふわ手錠、こっわ。
メス持って喋るの、こっわ。

で、形勢逆転して、枕で殺されんのかい!
じっくり迫っていくカメラワークと緊迫感がすっごいこっわいし、変なリアリティあるくらい、じっくりで、すっご。

翌朝、起きてきた友人の枕をどかしてから、驚いて、「マジかよ。死んでんか?」って小声になるのリアリティあって、すっご。

からの、自分が死んでも成し遂げる計算ずくの結婚式での逮捕劇。

ドン「ⅠⅠⅠⅠ/」←手帳に書いてた数えるやつでオチ。お見事!

てか、切ない。

;)


個人的にこの映画の色味(カラーグレーディング)がめっちゃ格好良くて好き。コーヒーショップのカラーグレーディングが最高に綺麗。
年齢に合わないくらいと思われがちなキュートな衣装は、キャシーの時間が大学時代から止まってたからなんだね。キャリー・マリガンの演技もキャラクターもそれを生かした衣装や演出や部屋の家具や小物も素晴らしい。

オープニングのだらしない男どものダンスが下半身アップぎみでスクロールして映し出されるの、これまで女性で描かれてたらそんな感情湧かなかったのにっていう皮肉が効いてていい。

キャシーの夜な夜な泥酔したふりして、復讐するというか、やろうとしてるく男に鉄槌をくだすのも、それが日常になるまで繰り返しやっているのも、キャシー自身が状況をコントロール出来るっていう確認行動なんだね。
それで何とか生きてられたのかな?
もう、生きる事に価値を見出してない感じが切ない所でもあるよね。

終わりも切ないですが、私刑(個人が個人を裁く)ではなく、警察という公共の機関が介入して法律によって裁くという、社会秩序を考慮しているのは、現代的だと思いました。もしくはイギリス的だからなのか?
そりゃ、復讐する相手を、めっためたのぎったんぎったん、にする方が気持ちがいいかもしれませんが、人間のコミュニティーとしては、このオチで良かったのかもと思います。
だからといって法律が完璧なんて思ってませんが。

それを踏まえて、そもそも、ニーナのような被害者を出したらあかんのです。それだけは、間違いないです。
で、ニーナってどんな人やねんっていう見えない状態で登場している演出もすご。