DJあおやま

STAND BY ME ドラえもん2のDJあおやまのレビュー・感想・評価

STAND BY ME ドラえもん2(2020年製作の映画)
4.4
試写会にて鑑賞。前作『STAND BY ME ドラえもん』は、“ドラ泣き”という薄ら寒いプロモーションと原作の趣きと程遠い3DCGに嫌悪感を抱く人も多いかったかと思う。ただ、その一方で自分は、大人向けに名エピソードたちを再構築し、新しくもどこかノスタルジックな雰囲気のある前作をわりかし好意的に見ていて、本作にも期待を寄せていた。そして、見事に泣かされてしまった。
本作では、『おばあちゃんのおもいで』と『ぼくの生まれた日』を下敷きとしており、その2つのエピソードを繋ぐ形で『のび太の結婚前夜』の翌日、つまり結婚式当日が描かれ、ストーリーが再構築されている。そのため、バック・トゥ・ザ・フューチャーばりに過去へ未来へと行き来する。どちらのエピソードも名作との呼び声が高いため、そのまま3DCG化しても名作にしかなりえないのだが、本作ではさらに、“おばあちゃん”を使って考えうる最も泣けるオリジナル展開まで用意されている。「それはずるい…」と思わず言いたくなる展開にまんまと泣かされた。なんなら嗚咽を必死に押し殺して、映画館で1人静かに大号泣してしまった。これはもはや原作の時点で言えることなのだが、もう亡くなってしまったおばあちゃんにタイムマシンで会いに行くという展開がすでに禁忌に近い。そんなの泣くに決まってるんだから。また、おばあちゃんのCGがウルトラキュートで愛おしさ増し増し。この点は原作に勝っていた。
全体的にスピード感のあるストーリー展開に、90分ちょっとというコンパクトな上映時間。前作と比べて元とするエピソードも少なめで、1つの作品としてのまとまりがあり、前作より完成度が高かった。冗長なシーンもなく好感が持てるのだが、ラストシーンを持ってしても15年後ののび太の身勝手な印象が拭えていなかったのが少し残念。
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