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マヤの秘密のmityのレビュー・感想・評価

マヤの秘密(2020年製作の映画)
3.5
ナチスに迫害されたロマ民族であるマヤが主人公というのが、ひとつこの映画の特徴だったと思う。

マヤが不意にトーマスを見つけたのは、1950年代後半。終戦を迎えて数年経とうとも悪夢に悩まされているマヤが抱えている心の傷はトーマスによるものなのか、が分からなくて、ルイスと同様マヤに振り回されながら観ていた。

かつて自分を暴行したのはトーマスだとマヤは確信を持っていたけれど、記憶以外証明出来るものが何もない状態で、その記憶すら断片的。加えてトーマスは人違いだと否定し続けている。···マヤの過去を知らなかったうえに、急に見知らぬ男を監禁し始めたマヤを、どう捉え信じていいのかなんて分からないなと思った。雪崩れように急激に一瞬で激変した彼らの日常。マヤの復讐の発端が戦争にあったと思うと、つくづく戦争には罪しかないなと思う。

邦題は「マヤの秘密」。でも原題は「The Secrets We Keep」。秘密が秘密を生み、悪夢が増幅したようなラストは、何とも後味が悪かった。


#35_2022
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