いずみたつや

マヤの秘密のいずみたつやのレビュー・感想・評価

マヤの秘密(2020年製作の映画)
3.5
戦争犯罪者たちが身近にいることの恐怖といえば、ボスニア内戦を描いた『アイダよ、何処へ』のショッキングなシーンが記憶に新しい。

家族を殺した人間が近所でのうのうと暮らしているということが、遺族にとって想像を絶する不安と恐怖であるのは言うまでもありません。

本作は「人と人とが殺し合う」ことで生まれる二重、三重の悲劇を描きます。被害者には家族がおり、また加害者にも家族がいる。この当たり前なことを想像できない(させない)状態に陥れる戦争の怖さと痛ましさが胸に迫ってきます。

本作の大きなテーマでもある「今の幸せを壊してまで果たすべき復讐か否か」。この答えは当人以外は持ち得ない。

そんな状況に対して、家族はどう向き合えば良いのかという視点を持ち込んだことで、物語がよりスリリングで複雑なうねりを見せていました。