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一度も撃ってませんのsymaxのレビュー・感想・評価

一度も撃ってません(2020年製作の映画)
3.6
ドラマ「探偵物語」の予告(18話)で"他の番組の皆さん、石橋蓮司は使わないように"と松田優作に言わせた男〜石橋蓮司が19年ぶりに映画主役を務めたハードボイルドにとことんこだわる男の物語〜

ちなみに、「探偵物語」18話での石橋蓮司は、矢がプシューって飛び出すピストルを使うなんだか間抜けな殺し屋役…に、似合う…

バー"Y"の片隅に佇む老齢の男"御前零児"は、まことしやかに噂となっている"伝説の殺し屋"

今日も、ヤメ検の石田から殺しの依頼を受ける…

という設定で、売れない小説家"市川進"は、究極のハードボイルド小説を書くために、夜な夜なネタを集め、密かに殺しの依頼を受けると、本物のヒットマンに協力し、その暗殺の状況を取材していました。

市川は、細部にこだわったハードボイルド小説を書きますが、それは昭和臭ぷんぷんで、もはや時代遅れ、出版社の担当編集者も正直辟易していました。

そんな時市川は、殺し屋と勘違いしたヤクザから命を狙われる事に…

作品全体の印象が、何となく「探偵物語」みたいと思っていたら、エンドクレジットに脚本として丸山昇一の名前、"なーるほど"と納得、「探偵物語」の脚本を書かれた方

ハードボイルドなのに、所々でニヤッとさせるそんな展開が本作にもしっかりあり、楽しませて頂きました。

また、主要キャストが、石橋蓮司、岸部一徳、桃井かおり、大楠道代と、原田芳雄や松田優作と親交が深い方々ばかりでしたので、二人がひょいと出てきそうで、そんな雰囲気も感じました。

他に、佐藤浩市親子、柄本明親子それぞれの共演だったり、エメリッヒの「ミッドウェイ」で山本五十六を演じた直後だったのか、坊主頭の豊川悦司、江口洋介に妻夫木聡、渋川清彦、井上真央に新崎人生とバラエティ豊か且つ、贅沢な出演陣が作品に華やかさを添えます。

ですが、なんと言っても圧巻なのは、主要キャスト四人の絡み、多分現場ではやりたい放題だったんじゃないでしょうか?実に楽しそうにアドリブと思われるセリフのやり取りは、テンポが良いのに、次に何があるのか分からないハラハラ感もあって…四人の絡みを見ていたら、またもや「探偵物語」を思い出しました…工藤ちゃんと服部さんそして、松本刑事のやり取りを…

阪本監督作品を鑑賞するのは、かなり久しぶりなんですが、今作は、主要キャストの四人の個性が強すぎるので、阪本作品としてはどうなのかと不安な面があったのですが、むしろ、阪本作品であったからこそ成立した作品なんですね?
随所に、監督らしさが溢れていました。

絶対に叶わない事ですが、どうしても原田芳雄と松田優作が今作に出ていたらと想像してしまいます…後、成田三樹夫も…めちゃめちゃ、面白くなっただろうと思いませんか?
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