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グレイス -消えゆく幸せ-のkuuのネタバレレビュー・内容・結末

2.0

このレビューはネタバレを含みます

『グレイス -消えゆく幸せ-』
原題 A Fall from Grace
製作年 2019年上映時間 120分
今作品のグレイス役のクリスタル・フォックスは女優兼歌手で、演劇女優として活動したのち、アカデミー賞を受賞した、コメディー映画『ドライビングミスデイジー』(1989)で、女優デビュー。
グレイスの親友サラ役多数のブロードウェイ作品に出演してるフィリシア・ラシャド。
監督自身も弁護士事務所の上司、ローリー・ガラックス役で、嫌味な役どころを好演。

善良な市民だった女性が夫殺しを自白し、起訴される。
それは誰もが有罪になることは間違いないと思われていた。
しかし、事件を調べ始めた担当弁護士は、供述の裏に潜む驚きの裏側に気づく。
感情は揺れ動かされ、弁護の気持ちは強まる。慣れない弁護の準備の中、なんとか少しずつ真実に近づいていたが、そこにはまだ彼女も知らない衝撃が隠されていた。

アメリカの劇作家、俳優でもあるタイラー・ペリーが脚本・監督・製作を務めたドラマ/スリラーの今作品。
あらすじを読んで、好みなジャンルやし期待して再生ボタンを押してみたが、残念な仕上がり。
今作品はご婦人がビルから飛び降りるところから始まった。
まさに今作品を予期してたかのように⤵️に。
映画はその後、有罪を認め司法取引をしようとしている依頼人を引き受けた新米弁護士ジャスミンの物語を追った。
その新米?いや素人弁護士?のジャスミングレースが受け持った依頼人は、夫のシャノンを殺害した罪で起訴されていた。
映画は、そのグレースがバツイチとなり再び若き男性と出会い、その新しい伴侶が彼女にどのように接するか、という別の物語を退屈に描き、彼は殺人に必要な軽蔑を生むように描いてた。

※今作品の欠点の大きさを説明するため、ここからネタバレが含まれます。

夫シャノンは、彼の欺瞞を知ったグレースから、座ったまま野球のバットで後頭部と側頭部に11発の打撃を受けたとされている(9発は力ずく)。
映画の終盤、家の中でブライアント巡査(弁護士ジャスミンのパートナー)を取り押さえようとして再び現れたとき、彼がどうやってウォーキング・デッドのニーガンのようなバットの攻撃を受け生き延びたのかは説明されていない。
また、バット攻撃の後に、首の骨が折れるようなやり方で階段から投げ落とされてるのに、シャノンはそれでも何とか逃げ出したっちゅうアリエナイ哀れな筋書きを試みをしている。
稚拙な展開にかかわらず、それに輪をかけて登場人物にも問題がある。
例えば、ジャスミンは奇妙な性格の持ち主。
クライアントの話しもまともに聴かずに『貴女は無罪よ』なんて云う始末。
お前は御船千鶴子かっ!
因みに御船千鶴子は明治の透視能力を持つ超能力者と云われてる女性(本編と全く関係ありません🙇)
そんなんで、弁護を欲してる被疑者、被告人はアメリカの獄中には五万といる。
何年もの司法教育を経たであろう弁護士である彼女は、殺人犯を弁護することに道徳的に反対しているよう。
これが、新聞記者などなら信憑性は多少あるけど。
また、ジャスミンが事件の関係者に聴取する際も、メモを取ってないのを注意されるよなお粗末弁護士。
たしかに、云ったことを記憶するスゴい奴はいるが、もし、ジャスミンがそんな能力があるならイソ弁(居候弁護士)の上、パシりに甘んじてないはず。
もし、被告人がホンとのキラーやったらどないすんねん?
勘だけで一か八かの裁判を挑んでんたのかと(実際、そのようです)、裁判を舐めるなと云いたくなった。
そない書く小生は大したことない小わっぱですが。
挙げ句の果てには証人尋問最終では、裁判官から『証人への尋問はないかと』問われて、ジャスミンは『無い』と云っておきながら、後から、もう一度、尋問させてくれと裁判長に詰め寄り、法廷侮辱罪でブタ箱に入れられる始末。
そりゃ気持ちはわからんでもないが、素人の小生でもそないなん裁判所には認められないと知ってんのに、ジャスミンはホンマに弁護士なんかいっっつつ!!。
ホントに判決を覆せる証言があるなら、上訴審(控訴なり上告)で争えば、それは認められるはず。
ジャスミンはそこに弁護士人生かけるとこちゃうやろ。
裁判じゃなくても、弁護士ジャスミンのやってることはヤカラ(難癖)やん。
云うなれば、U-NEXTを月の途中で解約手続きをして、残りの日数に応じて日割りで返金されると思って解約ボタンを押して終了したが、日割り返金ないし、もう一度、日割り分が損やし解約解除してくれって云ってカスタマーサービスにゴネたとて無理みたいな?
チョイちゃうかな。
それに、検察の起訴もお粗末。
ジャスミンが法廷でグレースを弁護したとき、彼女が無実であることを明らかにしてるように、犯行現場には死体はなく、血痕はたくさんあったのみ。
死体無き殺人ならもう少しポリの捜査の必要性はあるやろうとは思うし、良くもまぁ検察も起訴に持ち込んだなぁ。
仮に、夫婦喧嘩で奥さんが旦那の鼻頭にピンポイントパンチが炸裂して、鼻血が糞ほどでた翌日、旦那が奥さんに負けたことの失望して失踪したとして、奥さんがその後、殺人罪で起訴されたら誰かて疑うはず。
そもそも、検察が起訴するかどうか。
日本国においてなら、刑事訴訟法第319条2項に、『被告人は… その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。』 と定めてて、自白以外にも被告人による犯罪行為を証明する証拠がなければ、被告人に対して有罪の判決を宣告することができない旨を定めてる。
アメリカでも同じような法があるはず。
自白以外に血痕って証拠があるが、昔なら、袴田事件みたいに自供と血痕のみで起訴し有罪判決を下すようなお粗末な司法のノリはあったけど、現代なら、本人がやりましたって云ったかてせいぜい、起訴猶予、若しくは別件(銀行に損害を与えたうたがいで詐欺罪では起訴できるはずやし、あと偽証罪)で逮捕してポリが良く調べるはず等々。
登場人物の性格の悪さやプロットの穴以外に、この映画には脚本の弱さや特殊効果の悪さもあった。
スナップチャットのフィルターみたいなホタルのシーンがあったけどショボい。
もちろん、シャノンを最悪の夫に見せることに成功しているなど、良い部分もあったんはたしかやし、その点では、多くの映画が達成できない感情的な魅力がある。
他のまともな場面では、今作品には可能性をかなり秘めてはいるとは思います。
しかし、登場人物の性格の悪さ、筋書きの穴、強引なドラマで埋め尽くされている。
結局、まじめに見るには欠点が多すぎる映画でした。
プロットをすっきりさせ、主人公を弁護士やなく、新聞記者だとかにして、ドラマを大げさにしなければもっと良くなったかもしれない。
kuu

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