さわら

あの頃。のさわらのレビュー・感想・評価

あの頃。(2021年製作の映画)
3.0
劇中繰り返される「いまがいちばん最高」という言葉は決して本心から出てくるものではない。実際、CD屋のナカウチ(芹沢興人)は都内ライブハウスに勤め始めても仲間のつぶやきを気にしてるし、就職を決めたイトウ(コカドケンタロウ)も事あるごとに仲間集まり、打ち上げでだらだら過ごしてしまうじゃないか。だが、それがいい。それでいい。心に逆説を抱きながら生きる姿が妙にリアルだった。
握手会のシーンもいい。見せず丸々カットしたり、あややの背中だけで済ましたりすることもできたであろうに、しっかり撮ってる。覚悟がある。

とはいえ、自分の性を豪語したり男特有(?)のノリに盛り上がったりするあの感じ。もしかしたら人を傷つけるかもしれないという可能性に無自覚なところ。すごく苦手だ。かけがえのない仲間に出会う映画で、仲間にしたくない人たちを観る、あの居心地の悪い感じ。形容し難い。