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サンドラの小さな家のkazataのレビュー・感想・評価

サンドラの小さな家(2020年製作の映画)
2.5
個人的に相性の頗る悪いフィリダ・ロイド監督作だけど、Sia案件(って聞いていたから!)なのと上映尺が短いことからウォッチしたら……完全に騙されました!笑
(Siaの曲を使って『マンマ・ミーア!』的なポップなミュージカル風映画を勝手に期待していたこっちが悪いのは百も承知ですが…)
(「Siaの楽曲が導く母娘の再生映画」とか「Siaの曲をイメージして脚本を書いた」みたいな事前情報があったけど、物語&映画のノリと曲がミスマッチな気がする……)

DV男の恐怖を描いた『ジュリアン』と「働けど働けどなおわがくらし楽にならざり」by石川啄木feat.ケン・ローチな感じの超マジメかつヘビーなテーマだったのと、"サンドラの小さな家"と言いながら全然小さくないし、ある意味で"サンドラの週末"(ダルデンヌ映画と比べたら本作ですらポップに見えちゃうけど…)を描いた映画でしたね。

「誰かが辛い時は元気な人が支えてあげればいい=助け合い&支え合いの精神が大切」と説き、家づくりメンバーには「社会的弱者側への配慮」がちゃんとあって、「DVの痕跡=現実を隠しちゃダメ」ということを"メイク"で表現する辺りは良かったかな。
(小道具や美術での"家"のフリは流石に過剰な気も若干…)

ただ……やっぱり映画としての面白さが圧倒的に弱い!
(家作りも裁判の行方もひたすら説明描写の連続…)
(「サンドラがさっさと言ってればよかったんじゃない?」って思うことも多々発生…)

Sia問題に関しては、
神曲「Chandelier」&「Titanium」を使いたい気持ちはわかるけど……だったらChandelierは劇中でもう1回使って欲しかった!
(サンドラが仕事&育児で疲労困憊な時に、それでも気力を振り絞ろうとして一人で口ずさむ的なシーンとか…)
(サンドラの独唱シーンで歌っても良かったかも→またしても中断されちゃった的な意味合いも強まるし…)

そしてTitaniumはエンディング曲の方が良くない!?
(どんな酷い目にあったとしてもへこたれない!的な歌詞だからラストの方がしっくりくると思うけど…)
(…ってか映画全体を通して見た時に楽曲のバランスが悪いというか、Siaの曲だけが結果的に浮いちゃってる気がして仕方ないんだけども…)

ちなみに、映画内でのChandelier使用のベスト作は……
ミヒャエル・ハネケ監督作『ハッピーエンド』だと思う(笑)
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