竜平

ナイトメア・アリーの竜平のレビュー・感想・評価

ナイトメア・アリー(2021年製作の映画)
3.7
何やらワケありの浮浪者の男がとある見世物小屋とその一団に出会うのをキッカケにして自身の野望へと目覚めていく、がしかし、という話。ギレルモ・デル・トロによるサスペンス及びスリラー映画。

主演がブラッドリー・クーパー、で他にもルーニー・マーラやケイト・ブランシェットなどなど豪華キャストが多数出演。ひとまず今作はギレトロお得意のシリアスでダークな作風、なんだけど更にお得意(?)のファンタジー路線や超自然的フィクションを扱う内容ではないもんで、そこらへん期待して見ちゃうと肩すかしをくらうかもねーという感じ。手品やメリーゴーランドや怪力男、そして「獣人ショー」など様々な催し物を出すカーニバルの一団と巡り会うことになる主人公の男。彼に何やら付き纏う罪やら罰やら、これは後々判明し、その人生に関するドラマも徐々に色濃くなっていくんだけどまぁそこは楽しみにしとくとして、とにかく嫌な予感というのがずっと漂う。やがて主人公が興味を持つことになる、話術やトリックを駆使して人を思うがままに翻弄する、言うなればペテンのあれこれの話は非常に興味深い。巷で有名な降霊術やら占いの類は案外こーゆー原理なのかもねーなんて思ったりして。

今作は終盤に怒涛の盛り上がりを見せる、典型的な尻上がりタイプの内容のように思う。それまでの様々なシーンが布石、フリとなっていて、やがて雪崩れ込む展開と流れというのが素晴らしい。んだけど、逆に言えば終盤まで目立った見どころがなかった印象もあって、途中ちょっと飽きそうになってしまったってのが正直なところ。もうちょい上映時間が短くてもよかった気がする。オチはキレイにまとまってるし、わかりやすくて見やすいけど、ギレトロ作品にしては描写の奇抜さエグさなどがちょい控えめで味薄めな印象もある。つまらないことはない、というわけでこのくらいの点数で。
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