真面目で勤勉なおじいちゃんが若者の交流を経て、、みたいなよくあるハートウォーム話かと思ったら本当に全然違う、、無教養の愚かさに老いが拍車をかけ、悲しいほど惨めな白人くそジジイの姿を余すことなく描いており(よくぞこんな役を引き受けてくれた名優リチャードジェンキンス！素晴らしい)かといって若く才能のあるブラックパワーが勝るという単純な話でも決して無い。
死期迫る母親を抱え生活も困窮する余裕の無さに、自分なりに誇りを持って続けてきたつもりの仕事の薄給さ無意味さを突きつけられ狼狽える様。。街で起きた昔の殺人事件に若い頃立ち会っていて、黒人生徒が迫害されたときただ傍観していたということと、それを老いてから非難されること。(このときの逆ギレのような態度も痛ましい)気楽で穏やかながらトランプ政権でも支持してそうな長年の友人。自分より賢いであろう上司の黒人女性からの「本当の不当が何か知ってるの」という強い台詞。彼は彼なりにただぼんやりと生きてきただけなのに、それ自体が罪だとでも言うかのような責められよう。
対して、若き黒人青年の生活も当然のように苦難を強いられており、ふたりともそれぞれ不幸を噛み締めている。互いにそれを感じ取りながらも、悲しいことにふたりの間に友情など生まれず、それどころか。。
非常に遣る瀬無い終わり方。正直ここまできつい作品だとは思わなかった。すげー映画だった。
(ドラマ版ファーゴのモリー役アリソントルマンも良い役、良い演技)
