2人の女性がどういう経緯で事件に関わることになったのかということから、マレーシア・ベトナム・インドネシアと北朝鮮のそれぞれの関係性、マレーシアのお国柄や裁判制度、金正恩が金正男をなぜ殺さなければならなかったのかなど、多岐にわたる内容がわかりやすくまとめられている作品だった。
それにしてもいたずら動画を撮るバイトだと偽って、暗殺の練習をさせていた北朝鮮にはゾッとする…工作員が「日本ではこういう動画がウケるんだ」という嘘をついていたり、日本から来たことにしている工作員がいたり、日本に対する敵対心を感じたし、金正恩なら気軽に日本を攻撃しそうだなと思った。一番危険な国だと思う。
インドネシアと北朝鮮はほとんど国交がなく、ベトナムと北朝鮮は共産主義国同士だから仲が良いとか、関係性がよくわかる構成になっていた。マレーシアが大使館員を人質に取られて、せっかく捕まえた工作員を北朝鮮に帰してしまったのはまぬけとしか言いようがなかった。大使館員をマレーシアに帰国させてから行動すればよかったのに…司法が機能してないのもひどかったし、マレーシアは絶対行かないな、とか思ってちょっと調べたら親日国だったとは…こっちの印象はめちゃくちゃ悪いです。
2人が捕まった以降のことは追っていなかったので、その後のことも初めて知ったし、2人のそれまでの人生も興味深かった。出稼ぎに行かざるを得なくて風俗業を経て楽に稼げる仕事だと思って食いついてしまったシティには心から同情したけれど、女優になりたい有名になりたいっていう一心で引っかかってしまったドアンには同情できなかった…騙されていたとはいえ実行犯ではある事実は消えないのに、それでもなお女優になりたいと言っているのを見て「この期に及んでまだ言うか！？」と思った…馬鹿正直というか、まあバカなんだろうな…もう静かに暮らしなよ…
