前作を見たことなく、何の情報もないまま鑑賞スタート。初めは、編集されていない男性の独白を聞いて、ついていけるか不安だったが、そのうちこれがある診察室での会話だとわかった。山本医師が診察をやめるとのこと、そのことを不安に思う患者の声を拾っていたのか…。
前半部分では、山本医師が患者に愛される素晴らしい医師だったことを理解した一方、名医過ぎて彼がいないと病をぶり返す勢いで不安になる人が続出していることがわかる。後半は家庭人としての山本医師。芳子さん、痴呆が始まっているようで、自分で家のことをやろうも、得意ではない様がわかる。お喋りな芳子さんのご友人が、暴露話的なものをするなど少し鬱陶しいが、彼女がいてこその芳子さんだったのだろう。
お墓参りのシーン、激しい息遣いや覚束ない2人の足取りに、老いについて考えさせられる。もう少し早く引退できれば、芳子さんともっとたくさんの思い出づくりができたのかもしれない。
想田監督は山本医師に心から信頼されているからこそ、撮影を許されたのかな。日本酒をともに呑むことを強く勧められているシーンをみてそう思った。