さわら

ビバリウムのさわらのレビュー・感想・評価

ビバリウム(2019年製作の映画)
3.5
閉鎖空間においても、男は外で仕事・女は家で育児をするという、旧来的なジェンダー社会が自然と構成されてしまうのが皮肉だ。その子育てにおいても、子どもの持つ潜在的な不快さと不気味さを無理に増幅させて描き、観客に突きつけてくる。そこに愛おしさなど毛頭ない。
ここまで書いて、そんな映画が何で楽しいんだと思うがこれがべらぼうに面白い。悪意に満ち満ちた寓話。

わかったこと。衣食住が最低限満たされてもヨンダーでの生活が色褪せているのは、やはり人間には「文化(芸術)」が必要だということ(一瞬流れた車からの音楽でさぞ幸せそうに2人は踊ってたではないか)。
僕にとっては映画。でもたまに、映画を観るために洋服を買うお金をケチったり、食事する時間を割いたり、睡眠時間を削ったりしてるから、「文化も大概にせえよ」と自省したりしなかったり。