自由奔放で直情径行で、優しくて愚かな佐々木。彼は居なくなった。本当に居なくなってしまったのか?劇場を出て、彼自身の放つ眩い光にかき消されて見えなかった孤独を、焦りと苛立ちを、ふと思い起こす。彼は居る、誰しもの心の中に。佐々木インマイマイン、彼は青春の化身。
誰かと一緒に居る時にも、人は孤独を感じる。それをちゃんと感じることができるかどうか。分かり合えないことを、分かり合って生きていけるかどうか。佐々木はそれを追いかけた男だし、ユウジは次第に気づいてしまったし、それがこの映画のテーマなんだと思った。
カラオケのシーンはどうしても心に残ってしまう。佐々木が一歩を踏み出した理由。佐々木が「化粧」や「プカプカ」で埋めようとしていた心の隙間は、多分高校時代の親友たちさえも知らなかったものだから。その隙間は、間違いなく自分も持っているから。その嬉しさにはどうしようもなく共感してしまった。
もう一つのドラマである現在の話、あらかじめ別れてる2人って最近どこかで観たばかりの設定だし彼女はあの彼女だった(あくまで演じてる人がだけど)。きちんと言葉にして伝え合って、また新しい出会いを得たのだとしたらこんな愛しい話はないね。