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劇映画 沖縄のtheocatsのレビュー・感想・評価

劇映画 沖縄(1969年製作の映画)
4.0
日本返還前の沖縄、その理不尽状態の一端

最近では沖縄米軍がPFOSという毒性物質を無許可で垂れ流しにするという暴挙をしでかしたことが発覚したばかりだが、この映画は沖縄が日本に返還される前の数限りない暴挙・搾取・抑圧を米軍とそれに与する国賊日本人から受けていた一端が描かれている。

正直言えば嫌々見始めたのだが(過酷な事実を突きつけられるのが分かりきっているので見る前から精神負けしている・・・)、返還前の沖縄の状況はほんのさわりしか知らない状態だったので、次から次へこれでもかと軍事占領圧政下における理不尽な仕打ちがなされるのを見させられ沈痛さに浸ることしかできなかった。
それでも本作品の内容は占領圧政下の一側面しか描いていないのだろうが・・。

アメリカの犬となっていた(現在でもなり続けている)国賊人間からすれば虐げられる沖縄民たちの苦境などどこ吹く風、軽蔑し嘲笑さえしているのだろうが、しかし、考えさせられたのはアカ狩りに躍起になっていた戦前大日本帝国がもっと赤狩りのアメリカに敗れ、強硬な労組アカ狩り弾圧を受け続けることになったというのは間抜けなギャグのように思えてならない。
そして沖縄復帰以前も以後もアメリカの傀儡的な自民政権がほぼ一党独裁のような様相を呈し、一時的に非自民政権となった時でさえ基地関連はアメリカの意向に沿った政策しかとられないのだから何おか言わんや・・。

かといって米軍が完全に沖縄から撤退した時、間近なアジアの巨大国の脅威に現在の自衛隊が匹敵できるとは思われず、そのためには戦前規模の巨大軍隊が必要となるのは必定。そうなると悪夢の軍国圧政下に必然的に置かれることになるわけで、〝安全保障”のジレンマは一朝一夕には解決できないことは誰の目にも明らか。
「ここに知恵が必要」とヨハネの黙示録にあったように記憶しているが、本当にどうすればいいのか無い知恵を絞って愚人なりに考えることもままあり。

まぁ、途中から脱線してしまいましたが、本映画によっていろいろ考えさせてくれる機会を提供してもらったことに感謝。

012108
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