ペコリンゴ

水を抱く女のペコリンゴのレビュー・感想・評価

水を抱く女(2020年製作の映画)
3.7
記録。
呪われた愛の代償。

地・水・風・火の四元素を司るという四大精霊の1人(?)、水の精霊ウンディーネの物語を現代ドイツ・ベルリンを舞台に蘇らせた現代の寓話。

原題はそのまま「Undine」。
ゲーマーの方ならナムコ(現バンダイナムコ)のRPG「テイルズ オブ」シリーズの召喚魔法としてお馴染みかもしれません。アンデルセンの人魚姫も影響を受けたんだとか。

このウンディーネ、ゲームでは水属性の攻撃あるいは回復魔法を行使する印象が強いのですが、元来は人間の男性と結婚する事で魂を得るものの、それには3つの禁忌を伴う、とのこと。

その禁忌とは…

1.水のそばで夫に罵倒されると水に還ってしまう

2.夫が不倫した場合、夫を殺して水に還らなければならない

3.水に還ったウンディーネは魂を失う

…2つめとかちょっと怖いですよね。

とまぁ長くなりましたが、言いたいのはこの設定を念頭に置いて観た方が良さそうだってこと。ここ日本では一般的な知識とは言い難いと思いますし、確か映画ではこの辺の明言無いですからね。

本作で特に心に残ったのは、染み入るバッハのピアノ旋律、水の精霊と潜水士の恋愛ということで随所で強い印象を残す水。そしてそんな使われ方するんだ…なBee Geesの「Stayin' Alive」。

まぁアレコレ言いましたが端的に言うと、
美しく、恐ろしいようで切ない。
そんなダークな恋愛ファンタジーでした。

ちなみに、僕も昔女性に「殺す」と言われた事があります。彼女は水の精霊だったのかもしれません。