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セイント・フランシスのerinaのレビュー・感想・評価

セイント・フランシス(2019年製作の映画)
4.5
「人は女に生まれるのではない、女になるのだ。」
哲学者のボーボワールの言葉を思い出した。

妊娠したら自動的に母親になるという社会通念的なシステムについて
一旦立ち止まり考えさせられる。
母親とは、運命として与えられた役割なんかでは決してない。

ブリジットが感じている、住みにくいこの世界で子供を産むということの不安は、かなり共感する部分があった。
(タイムリーにこのもやもやについて日々考えている。)

けれど、いま子供が欲しい欲しくないに関係なく、せっせと身体は子を作る準備をし、
ベッドは血で濡れる。
そんな女性の日常には触れてはいけないと
目をつむる人々の目を自然と開かせてくる作品。

これは大人と子の単なる触れ合いではなく、
女同士の気づきと成長の過程であり、
性別という単なる身体的特徴が
人生にどれほどの影響を日常的に及ぼしているか
あくまで自然に、だけど痛烈に、描ききっていた。
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