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日本海大海戦のp99のレビュー・感想・評価

日本海大海戦(1969年製作の映画)
4.0
お盆の最後に観たのは日露戦争モノだった。

とにかくキャストが豪華である(僕はほとんど分からないが…)。三船敏郎、加山雄三など、当時のオールスター総出演と言ってもいいらしい。また、円谷プロが特撮を担当しており、かなり前の映画ながら、迫力ある海戦が繰り広げられる。

実はこの作品は父親の影響で、小学生の頃から何回も観ていた映画である。当時は、「色んな場面があって、情報量が多過ぎるため、話はよく分からないが、戦闘シーンはワクワクする」という印象を抱いていた。

今回久しぶりに観るまでの間に、僕は小説「坂の上の雲」を挟んだ。だから、今回は物語というか、日露戦争全体の大まかな流れが頭に入った上での観賞であった。それによると、「日露戦争に至るまでの過程を、海軍の様子を中心に、上手く要点を抑えてまとめてある」と感じた。だから、小学生では分からないかもしれないが、大人は事前知識がなくてもほぼ理解できると思う。歴史の教材として使えるんじゃないかというくらい出来がよいのだ。

海でも陸地でもたくさんの犠牲があったが、最後に対馬沖でバルチック艦隊と戦い、日本海軍が大勝利をおさめる様は、本当にドラマチックだと思う。明治時代の気骨溢れる先人たちの功績は、今の日本人にもっと知られるべきだと感じる。

海戦後のロシアの提督ロジェストヴィンスキーと三船敏郎演じる東郷平八郎の会話は、互いの健闘を讃え合うものだった。この時代の武士道、騎士道精神を感じて、いつもそのシーンで感動してしまう。ちなみに、ここで日本語とロシア語を繋ぐのが、あの児玉清さんだ。文学部出身である彼のロシア語の発音の良さは必見だ。

この戦争の焦点はロシアという巨大な国に、明治維新を終えたばかりの日本がいかに国力を動員して勝利を掴むかということだと思う。特に、海戦における、あれだけ一方的な勝利は他に類をみない。

その時、東郷平八郎は言う。「勝って兜の緒を締めろ」と。
勝って、戦争のこわさを知ったのだ。

しかしながら、その後軍部は勝利に酔いしれ、兜の緒が緩んでしまった。それは、後のいわゆる軍部の暴走に繋がり、1945年の大敗戦の遠因にもなったと僕は思う。その言葉は非常に示唆的で、哀愁を感じる。
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