【男には女が必要👗】
上流階級出身でゲイ・セクシャルの天才作曲家、コール・ポーターの伝記映画。彼と生涯に於けるパートナーのリンダの絆を淡々とした回想形式で綴ってゆく。🎹
とにかくコール・ポーターを演じるケヴィン・クラインが上手い!!! 天才ならではのエキセントリックな風貌と立ち振る舞いである。
彼を支える恋人リンダ役のアシュレイ・ジャットも見事に定着感がある。総じて脇を固める役者とそのアンサンブルが引き締まっており、どこかヨーロピアンな風情を感じさせる映像美も素晴らしい。
『夜も昼も』や『エニシング・ゴーズ』、『キス・ミー・ケイト』などなど、アメリカのポピュラーソング黄金期を彩ったスタンダード・ナンバーの数々が、縦横無尽に動き回るカメラワークと併せて一斉に流れ出す。その時の高揚感たるや。
本作は映画評論家兼・脚本家であるジェイ・コックス(エイジ・オブ・イノセンス等)にとっても、アーウィン・ウィンクラー監督にとっても最高傑作と言える切ないラブストーリーであり、ゼロ年代アメリカ映画の頂点に位置する大人の為の御伽噺である。🍂
アーウィン・ウィンクラー監督は主にプロデューサー(ロッキー、ライトスタッフ、グッドフェローズ等)としてアメリカン・ニューシネマ時代から暗躍してきた伝説的人物だが、あまり知られていない隠れた名匠と言える。
様々な映画的記憶を掘り起こしつつ、MGM産オールド・ハリウッドの豊かさをここに来て大噴出させた一作だと思う。まさしく懐古趣味バンザイ🙌といった感じである。
正直、本作でのコール・ポーターは自尊心の高い自惚れ屋ミュージシャンなのだがどこか憎めない人懐っこさがある。恋人のリンダも同様。お二人ともとことん貴族趣味。MGMミュージカルの新しい復権を謳った金字塔的な一作。
この映画のDVDを近くの中古屋で¥380円で買ったのだが、一生の宝物にしたいね。隠れた名作にして往年のハリウッドらしいカラフルな色彩美が美しい熟成したワイン🍷のようなゴージャスな作品。私のようなコール・ポーターマニアであれば必見の作。